想起=オルガン
人は知り得るもの、知ることが出来る何かを、知ると同時に思い出している。《人は演奏出来る音、聴く事が出来て奏でられる旋律を、聴いたと同時に奏でている》
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新しい知識を得る時、思い出せる事を、知りながら思い出している。人の知能が量的では無く、質的折り目であるとしたら、物的量の増減で人の知識の在処は語れない。其が身体的な、記録、としての、記憶、で無いとしたら、私達は其を示す言葉を持たない事になる。
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思い出せる事は知り得る事。〈想起=オルガン〉は知覚すると、知覚したイマージュを想起して、其を新たなる想起の束として思い出す、一方、知覚は想起を変更する作用を持たない。光が、脳に焼き付いて火傷になり思い出せる映像になる訳では無い、光を外的なイマージュに返した想起は初めから私達の内側に属していた。其が折り込まれて、簡単に出し入れ出来ると錯覚出来るほどに鮮明な、〈想起=オルガン〉と変身しただけなのだ。
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人は自身の〈想起=オルガン〉を充分に演奏出来た時、其の人にとっての全知を得る事になるだろう。此の瞬間は君の全知である。但し、此の世で最も優れた奏者でも、凡ての楽譜を知る事は出来ない。〈想起=オルガン〉に無い音を、人は思い出す事が出来ない、また、知る事も記憶する事も出来ない、但し、奏者はオルガンに無い音を分化させ生成し、新しい音階は作られる。
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