概念のない午後(詩)
晴れた日にはイマジネーションが欠落するから
よく喋る貝の独り言を
推敲してコーヒーを淹れる。
肥満する自意識と四肢が
窮屈そうに文字を探したが
思い出があり過ぎて
何を書きたいのかわからなくなった。
人生にわからない事があっても
いつか理解出来るものだと思っていた。
肺の半分で詩を書き残り半分で削除する。
孤独に慣れたという
嘘つきの私には
コンセプトが欠けている。
正しい日本語からこぼれ落ちてゆく
思考が
沈んでしまわないように
眠るので精一杯
運動不足の情熱は排水溝に流された。
君の事をメモして
分かり合えない理由を探す。
ペットボトルに閉じ込められた熱帯魚には
向上心と危機感が欠けていて
退屈な一日を泳ぎ切る
確たる枠組みも筋道もなく
したがって寄り道も抜け道も落とし穴もない。
無駄を省くと何も書く事がない
詩人の非生産的な午後である。
過度な性描写だといって
月の分裂は捨象され
清潔さを保つために
鏡の表情は拭き取られた。
今すぐに哲学を編み出さなきゃならない
健常者が伸ばす長い手足に
絡め取られないように。
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