見出し画像

現在∧ 現実(ゲンザイゲンジツ)


 現在と云う時は記憶ではない、
 其は過去に在った如何なるものとも異質である波紋で、
 此の瞬間に在ると云う此性を有して、
 其を描いた瞬間に、色褪せる。

 では、此の水面に在る、厚みの無い面、
 降り頻る時を受け止めている此を、何と呼ぼうか。
 どうせ色褪せるなら、
 使い捨てられる名前を与えてくれ。

 〈現在〉私が確かに、
 唯一在り、そして、如何なる過去と未来、
 凡ての時に、属する事の無い唯一の時。

 〈現実〉未来と云う無数の仮説が、
 一つの視界に納まり、私と云う虚構が投げ掛けられる場。
 二つが同時でないとしたら、此は何と呼ばれるべきであろう。


いいなと思ったら応援しよう!

松尾友雪〈Yusetsu Matsuo〉
宜しければサポートお願いします。