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極北の大河ユーコンをカヤックで8日間旅して

普段自転車で世界を旅する私が初めての長期カヤック旅を終えての感想をここに記す。極めて個人的に書いたものなので、参考程度に楽しんでいただけると幸いです。

実際の映像はこちらから
https://youtu.be/RkFDoA26Wfs

ユーコン川を降り始める前、自転車とカヤック、乗り物が変わるとは言え、野宿にも慣れているし、一人での行動も慣れている、体力勝負も熊対策もカナダの大自然も言うたら自転車旅と一緒じゃないか、そんなに新鮮味もないだろうと思っていた節もある。
しかし、実際に始まると全てが自転車旅とは違って驚いた。本当に全てが違うのだ。

①事故=死(危険性)
まず危機管理の重要性の違い。自転車ももちろん事故れば死につながり得る危険なレジャーな一つと言っていい。それでも転倒や接触が即座に命の危険には繋がるとは言い難い。
自転車の故障や盗難だって、旅行の継続という観点から見れば重大かもしれないけど、命が牛和なれる危険は少ないだろう
しかし、カヤックは殆どの事故が命を危険に晒す。
カヤックに穴が空いて塞がりません→死
カヤックが横転しました→死
キャンプ地からカヤックだけ流されました→死
戻る手段もいく手段も極端に限られている以上、自分でなんとかできる範囲が非常に狭く、事故が起きないようにするための準備が非常に入念だし、事故が起きてしまった時の対策も自転車に比べて遥かにしっかりせざるを得ない。

②本当の大自然
自転車で走っていて、人工物が目に入らないことはない。
なぜなら全ての道路は人工物だから。
その点でカヤックは大きく異なり、人工物の余地の無い、本当の自然の中を進んでゆく。
今まで大自然だと思っていた景色よりも純度の高い自然が待ち受けている。なるほど、これが自然かと、よく言う自然との一体感や人間の小ささみたいなものを改めて感じた。

③水に対する意識
これはすぐわかると思うが自転車では水野補給が常に頭の片隅に置かれているが、カヤック度は水だらけ、浄水器さえ持っていれば心配なし!

④キャンプ場所、人との距離感
そんな大自然の中をすすむわけだから当然キャンプのできる場所は限られる。
自転車ならテントのはれそうな開けた場所を探すのも比較的簡単だけど、カヤックだとそうも行かない、その点は流石に観光地化されたユーコン川なだけあって、人工的に手入れされたであろうキャンプ地がいくつもあったが、これが本当のカヤックの旅になれば両サイドもりや崖で中々キャンプ地が見つからないと言うことも想像がつく。

⑤荷物の持ち運び
カヤックが万が一にも流されないように徹底して工夫する。
まず荷物を全て陸に上げて流された場合でも生き残れるようにする
そして、カヤック自体も陸にあげる。流されないようにひっくり返す。木に括る。
ここまでするのかって今でも思うが、ここまでしないでカヤックが流された人が何人もいると思うとせざるを得ない。多分自転車でヘルメットつけて、反射ベストきて、ライトつけてるのも、はたから見ればそんなものなのかもしれない。

⑥体力は使わない(時間の流れかた)
この荷物の持ち運びがあるので、どうしても準備と片付けに時間のかかるカヤック、出発時間も到着時刻も必然自転車より余裕を持つことになる。そして、河の流がれがあるとはいえ、素人の漕ぎ方ではもちろん自転車よりペースは遅い。というか漕がなくてもすすむのにわざわざ漕ごうとも思わない。よって余計にスローダウン。全ての時間がまったり進んでいる感じがする。これは好きとか嫌いっていうよりは感覚違うなぁという感じ。自転車には自転車の、カヤックにはカヤックの距離感と時間感覚があるんだろう。エンジンがつくともっと感覚変わるかもしれない。

⑦巻き戻らない、選べない
川の流れに歯向かってすすむことはできない。これは衝撃だ。そんな不便なことある??
キャンプ地も観光スポットも全て逃さないように注意して進まなければ、素通りしたら最後だ。
そこに何か人生哲学を見出す気もないけれど、、、少なくとも自転車よりも注意深く、また1箇所1箇所、本当にこれで満足か一応問いただしてすすむことになる。まぁ、素通りさえしなければ、大抵は満足する時間は一緒かな。
それとルートを選ぶこともほぼできない。川の流れは海に向かうしかないのだ。カナダに関して言えば自転車も目的地が決まればルートはほぼ選べない。けど逆方向に進むことはもちろんできるし、大きく捉えれば目的地まで一応ふたとおりくらいは選択肢がある。その自由な感じも俺は好きだな。

なれなかったカヤック捌きも1週間もたてば素人なりに操れるようにもなり、一通り楽しめたかなぁとは思う。自転車ほどハマる予感はしなかった。もう一回大きな川旅行を本格的にやってみたいとは思うけれども、じゃあ生涯の趣味になりますかといえば、そうはならない気がするよなぁ。

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