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1日試飲し放題。ぶどうの丘で甲州ワインをdigる。

秋。せっかくの平日休み。
昭和記念公園でのんびり金木犀の香りでも楽しもうかな。

なんていう甘い計画は雨予報でおじゃん。

どこへ行こう。 
とにかく自然に触れたい。季節に触れたい。
人間関係で荒んだ気持ちを浄化するのに躍起だ。

そうだ。ワインをdigりに行こう。

山梨の天気を見る。雨は降らなそう。
久しぶりにお気に入りの甲州ワインを発掘しよう。そうしよう。


■ワイン飲みの桃源郷、勝沼ぶどう郷

朝6:00の高尾行き中央線に飛び乗る。
スーツを綺麗に纏うサラリーマンと肩を並べる。

高尾に着く。
ホーム向かい側に甲府行きの中央本線の列車が待っていた。
いつも見慣れたオレンジの列車では無い。
大きなリュックとモンクレールを纏う登山客と肩を並べる。

電車に揺られて1時間ほど。
今日の目的地。勝沼ぶどう郷駅。

ワイン党の桃源郷。桃じゃないけど。勝沼ぶどう郷。

ホームに降り立つと、ぶどう畑が一面に広がる。
まさに”ぶどう郷”。

ホームから改札へ抜ける通路でワクワクが止まらない。
駅を出ると見渡す限りぶどう畑
駅前にはムチムチしたぶどうが迎えてくれる
ぶどう畑のぶどうはほぼ収穫済み。こちらは観光客向けのぶどう。

■今日の目的地、ぶどうの丘へ

駅を出て、散策がてら1.2キロの道のりを歩く。

時間に縛られず、道草を食うのがどれほど贅沢な事か。大人になると忘れてしまうこの感覚。貴重なこの一瞬を、噛み締めながらのんびり歩く。

”ワインを飲む前にぶとうでも眺めて気持ちを高めよう”

そう目論んでいたが、ぶどう畑のぶとうはほとんど収穫済みであった。人生はそう簡単では無い。


ぶどうを意識してパープルのニット。
浮かれていた事を現地に着いてから少し恥ずかしく感じる。
旅の恥は掻き捨て、である。
ご当地マンホール。
勝沼の二青年。
掴めるようで掴めない秋の気配。

小高い丘を登り、今日の目的地・ぶどうの丘に到着。

ほんの少し、秋の気配。

少々時間があったので、展望デッキへ。
曇天でも、雲海のような景色が見えてこれもまた良い。

甲州市を一望
お酒が恋人。良いワインと出逢えますように。
良いワインと!出逢えますように!

■ワインカーヴで甲州ワインをdigる

そうこうしていると、9:00になった。
いざ、本日のメインイベント。

1階の受付で、「タートヴァンをください」と申し出る。

タートヴァンとは試飲で使用する専用の器。
1800円。これで今日は自由だ。
1日甲州ワインをめいっぱいテイスティングできる。

タートヴァン。

地下へ降りると、たくさんのワイン棚が広がる。

赤もロゼも白も。

フルボディ〜ミディアム〜ライト
さらには甲州、アジロンなど品種別に。
しっかりと区分されていて楽しみやすい。

赤も。
白も。

親切におすすめの順路も案内されている。


白ワイン→赤ワインフルボディが推奨順路だが、赤のフルボディが大好物なので、逆を攻める。

しかし。
以前来た時よりも心なしか赤のフルボディが少ない。
タンニンでザラッザラで重厚なものが好きだが、割と皆様あっさり。

肩すかしを食らいながら、あっという間に白ワインゾーンに来てしまった。

白より赤派なので「せっかくだし…」という
半ば諦めにも似た感情でまずは新酒ゾーンから突撃。
今思うと、なんて失礼な気持ちで白ワインに接していたんだ…と後悔している。


■自身の味覚の変化に気付く

「新酒」のラベルに胸を躍らせ、タートヴァンに注ぐ。

一口飲むと思わず「おぉ甘い」とつぶやいてしまった。嫌な甘さではない。芳醇。フレッシュでジューシー。

今まで甘口のワインはあまり得意ではなかった。
そもそも甘党ではない。そして食事に悩むからだ。

でも、なぜだ。とても美味しい。

実はバルクアップで長らくお酒を断っていた。
そして煙草も辞めた。

そう、久しぶりのお酒だった。
味覚の趣向がだいぶ変わっていた。

ネオマスカット(盛田甲州ワイナリー)


アジロンダック、巨峰、デラウェア(シャトー勝沼)
すべて新酒。若者向けなキャッチーなラベルがとても可愛らしい。


気付けば新酒をひと通り試飲。
めちゃくちゃ楽しくなってしまった。

芳醇で濃厚な甘みのお酒。
酸味がキリッとしているお酒。
ハチミツのような香りのお酒。

こうして飲み比べることで、
1本飲んだだけでは気付かないそれぞれの個性に気付ける。

この瞬間を経験できることが、この施設の醍醐味だと思う。


楽しいエンジンがかかった私は、
樽発酵、樽熟成の甲州ワインもじっくり試飲。

赤もそうだが、
樽の香り、風味が好きで樽熟成のワインに目がない。


とりあえず、美味しいと感じたものは写真を撮る。
Instagramのストーリーズに写真とともに味の感想を添えてアップ。メモ代わりとしていた。


バイクで増えたフォロワーさんには申し訳ないが、
瞬時に簡単に記録できるのがありがたい。
拙くても24時間で消えるから傷は浅く済む。


■甲府盆地を眺めながら素敵ランチ

地下ワインカーヴでひたすらテイスティングするうちに、

「うまい!」
「うまい!」  

と、感想が煉獄さんみたいになってきていた。

そう。そこそこ酔いも回り、バカ舌化していた。

気付けば12:00過ぎ。
3時間以上ワインを飲み続けていた。

お腹も空いていたので、3階にあるレストランへ。

山梨の食材を使用した料理を、甲府盆地を一望しながら優雅に頂ける。

お昼はお得なランチがあるので、
ハンバーグランチをオーダー。

肉感しっかりで下味のペッパーが効いている。
ソースも味が深くてライスが進む。
キッシュも美味しかった。大満足。

甲府盆地や南アルプスを眺めながら、食事を楽しみ、食後のコーヒーを頂いてほっと一息。酔いをさましてリフレッシュ。


■さぁ、連れて帰るワインを決めよう。

美味しいランチで気分もお腹も満たされた。
舌もニュートラルに戻ったのでワインカーヴに戻る。

ワインカーヴでテイスティング出来るワインはすべて購入が可能。今日はお気に入りのワインを見つけて購入したいと決めていた。

午前中にテイスティングしてInstagramのストーリーズで感想をアップしていたものを見返し、再度テイスティング。

やはり。

午前中、後半は煉獄モードでさらに空腹だったせいか味の感じ方が全く違う。お腹が満たされると舌が厳しくなる。

先程感じなかった酸味やアルコール感。
それが悪いという事ではなく、今日の自分の気分では無いだけで美味しい事に変わりはない。

そして、数多ある中で抜群に美味しいと感じたものがこの2本。購⼊して帰ることに決めた。

新酒 デラウェアにごり(まるき葡萄酒)

デラウェアにごり(まるき葡萄酒)

新酒ゾーンにあったこの1本。

口に含んだ時のハチミツのような香りや風味がたまらない。甘口のワインであるが甘さがくどくなく、心地よい酸味で爽やか。フレッシュ。
にごりのもとであるもろみが旨味を醸している。

飲むと幸せになれるワインだな〜とテイスティングする度にほっこりした。


勝沼の甲州(蒼龍葡萄酒)

勝沼の甲州(蒼龍葡萄酒)

樽の香りが芳醇。
けれども、決して樽香頼みではなく、酸味も柔らかくて果実感がよい。
後味がスッとスッキリ。

本当によくまとまっていて、
個性が強すぎる訳でもなく、無個性な訳でもない。
どんな食事でも合うんだろうな、と。

この2本を大切に抱えて1階受付でお会計を終えた。


■君はここにいたのか…!

ぶどうの丘は地下のワインカーヴの他に、

1階や2階展望デッキにワインサーバーがあり、テイスティングができる。

展望デッキ前のワインサーバー

ワインカーヴと違うのは、
ランクアップしたワインが並び、1杯ごとのコイン制であること。

2年前、ワインカーヴでお気に入りの1本と出逢った。それ以降事ある毎にネット購入するほどファンになった。


しかし、今回ワインカーヴのラインナップには外れていた。
”どこに行ったんだろう”と寂しい気持ちがあった。


しかし!

いたーーー!!!
あなた、ワインサーバーにいたのね…!

「麻屋メルロ樽熟成2021(麻屋葡萄酒)」

私がここで出逢い、大好きになったワイン。

自社管理の勝沼のメルロー種を使った1本。
メルロー大好きの私にはたまらん。
ふくよかな果実味とタンニン、樽熟成の深みが本当に好き。


と、こんなに語っておいて今回は買ってない。
2本持って帰るので、きっとめいっぱいだろうから…
後ろ髪を引かれながら”またね”手を振った。

こうして執筆している今、
飲む口になってしまったから近々購⼊するだろう。


■新しい発見ができた充実の1日

お気に入りのワインを抱え、帰路に就く。
気付けば15:00を回っていた。

勝沼ぶどう郷駅行きのバスまで時間が空いていた。
ほろ酔い気分で駅までゆっくりと歩き出す。

酔いをさますのと、充足感を噛み締めるには丁度いい1.2キロの道のり。

恋人の聖地があるぶどうの丘で良いワインと出会う事ができた。
実に良い1日だった。


だんだん秋も深まり、冬が近付くにつれてこっくりとしたワインがより美味しく感じる季節になる。

自分の舌で、自分の感覚で体感して選ぶ1本は格段に思い入れが深まる。

大人にしかできないマイセルフな休日。

また来よう。ぶどうの丘。
そして次はぜひお気に入りのワイナリーに行ってみよう。

ここは、大人のぶどう郷


おわり。


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