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瀧波 わか
2018年11月9日 17:31
髪の毛というものは、恋人の頭についている時は、こんなにも愛しいのに、床に落ちた途端、おぞましいものに変わるのは、なぜだろう。大学生の頃、辞書を片手に読んだフランス人作家の小説に、こんな一文があったことを覚えている。詩的でなめらかな文であったのに、その生活感あふれる描写がとても気に入り、当時愛用していたルーズリーフバインダーの裏表紙に、原文を書き写して持ち歩いた。私はこの作家の感性に、こ