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Not 桜日和 ~桜と写真とカメラの話~

今年の春は、どうにも桜に優しくない。
梅雨みたいに曇りと雨の日が続いて、風も強い。

よく晴れた青空の日、桜の下でお弁当を食べている。
柔らかな風が吹いたかと思うと、ひらひらと唐揚げの上に花びらが落ちてきた…みたいなシチュエーションは、どうやら今年は望めないらしい。


ただ桜写真を撮る、という楽しみが損なわれたわけではない。
晴れの日には晴れの日の、雨の日には雨の日なりの良さと楽しみがある。

昨日のお天気は、曇り時々小雨。
そしてこの辺りには珍しく、霧が出ていた。

いつもの風景が桜色のアクセントで、ほんの少し華やかに…
そしてたちこめる霧でどことなく柔らかに写る。

ただしこういうお天気の日は、空背景にしても楽しくない。
白に近い鼠色と薄紅色では、青空のインパクトには負けてしまう。


そういえば昔は、桜の写真を撮る事にあまり興味が持てなかった。

だって誰が撮っても、青空さえあればそれなりに綺麗だし…
桜や紅葉って、いつかどこかで見たような、ありがちな写真になってしまう。

そういう写真って、好きじゃない。
だから桜は撮らなくていい。

生意気にもそんな風に思っていた。


だけど今や、そうやって尖った台詞を吐く事も無く
ウキウキとカメラを持ち出しているのは。

それは、自給自足する事にしたからだ。

ありがちになるというなら、そう撮る自分の腕が悪い。
嫌ならば、そんな風に撮らなければいいのだ。

「さぁ自分の桜は、自分の手で探しに行こうぜ!」という訳である。


そして、そうやって向き合ってみれば。
否定していた、ポストカード的な美しさへの印象も変わってしまった。

あれって撮りたくても、天候に気候・時間帯などの条件がぴったり合わないと難しくて。それを撮りたい人が多くいれば、場所取りの競争率も大変で。

自分で撮ろうとは思わないけれど、あれはあれですごい事だ。
写真という趣味の、アプローチ方法の幅広さを実感する。


さて、自給自足を始めてから数年。
毎年必ずではないけれど、桜を撮るのが楽しくなってきた。

「私は私の桜ちゃんが、最高に好きで可愛いんです!!」
胸を張ってそう言う為に。

心に響いたものを、1つ1つ確かめながら。
自分の感じる"良い"に最大限近づくよう、試行錯誤していく。

文章を書くのとよく似ている、感覚を形ある物に変換する過程。
この作業が、なんとも楽しくて。


他人に評価される、されないなどと考える事なく。
まずは自分が自分の為に心に問いながら、作り上げていく。

ただこれだけの事が、楽しくてやめられない。


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