講談:なんだかんだ熊之丞《玉手箱の葉書》
人というものは思い出が糧となり、人生が豊かになったりもするものだそうですが、それは中学の卒業式を終えて数日後のこと、1枚の葉書が届きました。明るい花柄の中にたった一行『いつまでも忘れません』これは一大事、嬉しさを抑えつつすぐに連絡をと思いましたが、添えてある名前に心当たりの同級生が2人。漢字では違ってもひらがなでは同じ名前です。今更漢字でと願ったところでどうにもなりません。さりとて相手を間違えて恥をかくには勇気が足りません。悩むうちに日は流れ、高校生活が始まります。新たな生活の慌ただしさに紛れ、葉書は玉手箱の中に収まることとなりました。
さてその後、玉手箱が開いたのか開かなかったのか気になるところではありますが、なんとなんとお時間になってしまいました。失礼をいたします。
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