地味なデス映画「サークル」がおもしろかった
一族の中ではあまり映画にうるさくなく、詳しくもないほうの俺だ。せつぴっぴだ。
なんかあ~、ネットフリックスとかで見た「聞いたことないけどけっこう面白かったC級映画」の感想とかをまとめて、映画通とはまた違う路線のやつを書きたかったのだが、結局そこそこ聞いたことのあるやつしか見ないという「映画通じゃなさ」が出てしまい、5本くらいしか書けなかった。
そのうえ全部に「おもしろかった」みてーなことしか言えなかったので、もう「その中で一番おもしろかったやつ」だけを紹介する。
『サークル』
2015 アメリカ アーロン・ハン監督
「目覚めたら、見知らぬ人間たちと暗い部屋にいた」系のソリッドシチュエーションスリラーだが、見知らぬ人間の数が50人だったので見た。多めだ。
ストーリーは「謎のビームによって、1~2分ごとにひとりが殺害される。対象は50人の内部投票で決められる」というシンプルなものだ。
つまり「誰から殺すか」を多数決で決めていくゲーム……ゲームでもないな。デスゲームのゲーム抜き、つまりデス映画だ。
87分のうち85分ずっと投票をやっているので、脱出とか黒幕とかを気にしなくてよい。
いかにも低予算であり「たぶん13点の映画だろうが、冷やかしに観たろ」とナメてかかったのだが、予想外に面白かった。70点はいっている。
いや、予想外のことは起きないのだが、「予想したことはすべておさえてくれている」と言える。
50人は国籍も人種も年齢もバラバラで、俺たちが予想した通~りの「命の重さランキング」が作られていく。
50人もいたら自己紹介も間に合わんので、序盤はとにかく「パッと見の属性」で決めるしかない。
「まずは老人だろ。えーと6人いるから、彼らをやってる間に状況を確認しよう」つって「時間稼ぎ」で老人たちがサクッと選ばれてしまう姿、老人としてしょんぼり眺めた。これを覆すのは無理だよな。
そして次は「持病を有している者」を探すターンに入る。その次は子供のいない者、犯罪歴のある者、福祉援助を受けている者……。嫌~な階段を着実に下りていく。
話がまとまっていない時に投票タイムが来たら、見るからにアメリカ人ではない者から選ばれてゆくのも、そうなるだろうな~~という嫌さがあって面白かった。
そうなれば当然、黒人から「次は俺たちだろう!」という声が上がる。
社会派風刺ととらえることもできるのだが、そういう見方をすると一気にダルくなるので、悪趣味娯楽映画として観るのをおすすめする。
子供、妊婦、身体障害者、言葉の通じない出稼ぎ労働者など、「そこに投票したらおしまいだろ枠」がたくさんあるので、一体どういう順番で……!? というスリリングさもなくはない。スリルというよりはやはり「悪趣味な好奇心」だと思うが。
想像以上に想像通りのものが見られる低予算悪趣味映画だ。
人は謎ビーム一発でボテッと死ぬので、グロい描写とかもない。
だから俺はぜんぜん映画通ではないのだ。通によるレビューなら、そのうちでっかいおじさんとかが書くだろう。
俺が詳しいのは「花屋で買える使い道のある植物」とかなのだ。それは書いたらダメなんだろ。わかっている。
ではまた。面白い映画があったら教えてくれ。