見出し画像

イビツな扇状地はせめぎ合いの跡?:東京都中央部平地~中山間地域【流域を考える旅vol.3】

東京都中央部の平地~中山間地域。その北部には広大な大地が広がっています。今回はそのお話です。

武蔵野台地はどんな台地?

この地域の北部は武蔵野台地と呼ばれています。

画像1

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

かなり大きい範囲で平坦な地形がひろがっています。
そして隣の一段低い地域とはハッキリとした標高差がある、いわゆる台地になっています。

多摩川扇状地

そして武蔵野台地のもう1つの顔は多摩川の扇状地であるということ。
こうやって見ると、確かに多摩川の上流から出た土砂が広がっているように見えますよね!

ただ石川県手取川の扇状地に比べると綺麗な扇のカタチはしておらず、いびつな五角形とも言えるような形状です。
これは扇状地形成から時間が経過して浸食が進んだためと考えられます。
特に北西を流れる荒川(青線で図示)による浸食が強そうに見えます。


河川同士のせめぎ合い

この扇状地のカタチのもう1つの原因として、他の河川とのせめぎ合いもあるのではないか?と感じました。
手取川は周囲に目だった河川が少なく、いわば手取川一強の状態だったので綺麗な扇状地ができたのでしょう。

一方、多摩川の場合は下流の関東平野が広く、そこにほぼ平行に注ぐライバル河川がいくつかあります。

入間川との境界

例えば北の境界部(赤点線)のすぐ北を流れるのは入間川(いるまがわ)。
多摩川水系からの土砂は赤点線までは広がりましたが、入間川に浸食され、それ以上は広がることができなかったのでしょう。
また逆に、入間川にとっては多摩川方面からの土砂が多かったため、自分の扇状地をつくることができなかったとも考えられます。

秋川との境界

また北西の境界(上図赤点線)では、支流の秋川(青点線:南)と平井川(青点線:北)からの土砂は多摩川(青線)に削られ、扇状地が形成されなかったと考えられます。


河川の規模を比べてみる

こういったせめぎ合いの結果を左右した要因は、やはり河川の規模でしょう。気象条件が大きく変わらなければ、流域面積の大きさで河川の流量(≒浸食力)が決まります。

では、どのくらい違うのか?
参考として、多摩川と秋川を比べてみました。(入間川ですと「埼玉県」になってしまうので・・)

多摩川-秋川比較

この縮尺で水系を描くのはさすがに厳しいので本流だけをなぞってみました。青が多摩川、水色が秋川です。
合流点より上流の長さを比較すると、多摩川は倍くらいの長さです。
が2倍ということは単純計算では4倍ですね。

つまり・・かなりザックリな計算ではありますが、多摩川(合流点より上流)の流域面積は秋川の4倍。
これだけの差があると、扇状地の規模に大きな差が出るのですね。

ちなみに多摩川は奥多摩湖より上流では丹波川に名前が変わります。


いかがでしたか?多摩川と言えば東京の河川を代表する川の1つですが、中央部の平坦な台地をつくったと言う意味でも重要な河川ですね。

お読みいただき、ありがとうございました。


この地域の他の記事はコチラ👇


いいなと思ったら応援しよう!