【都道府県シリーズvol.1】宮城県南東部①:平野と盆地はナゼできた?
※トップ画像は「日本一の道祖神」と言われている丸森町の立石
Miyagi Explorerより
「都道府県シリーズ:宮城県」のプロローグとして、標高や地形の特徴で12の地域に分けられるとお話ししました(※あくまで私の主観です)。
今回は宮城県南東部について詳しくお話ししてみたいと思います。
宮城県南東部の特徴とは?
もう1度、宮城県の地形区分を見てみて下さい。
今回はオレンジ色で囲ったあたりについてお話しします。
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像を基図として筆者作成
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
何も書いていない、地形だけの画像を貼り付けます。
東の沿岸部(薄青~灰色)は仙台平野の南部で、北から名取市、岩沼市、亘理町、山元町と並んでいます。
平野は南端で細くなりますが、さらに南にも続いています。これは福島県沿岸の平野になります。
やや内陸部に平坦な土地があり、「への字」みたいなカタチになっています。図示するとこんな感じ。
緑色で囲った東側が角田盆地で、盆地の北側3分の2くらいを角田市が占め、南の3分の1と周囲の山地が丸森町です。
西側は白石盆地で、盆地とその周辺の山地が白石市です。白石城は伊達政宗の腹心、片倉景綱の居城として有名です。
このように南北に細長い平坦な土地が3つ並んでいますが、東の平野と西の2つの盆地とでは、その「でき方」が違います。
仙台平野は専門的には沖積平野と呼ばれる平野。
白石盆地と角田盆地は断層盆地あるいは横ずれ堆積盆と呼ばれています。
私が大学生の時に研究していた地域は横ずれ堆積盆と呼ばれていてなじみ深いので、以下では横ずれ堆積盆と言わせてください。
沖積平野とは?
沖積平野は簡単に言ってしまうと、河川から流れてきた土砂がたまってできた平野のことです。
仙台平野の場合は河川の堆積物のほかに海から流れてきた砂でできた部分もあるので、厳密には違うのかもしれませんが専門家が書いた文献では沖積平野と言っています。おそらく混ざっていて区別できないから、そう言ってるのでしょうね。
仙台平野がどうやってできたか?については、また別の機会に詳しく描いてみたいと思います。
横ずれ堆積盆とは?
色々な文献を読んでみても、断層盆地、構造盆地、横ずれ堆積盆と呼び方は統一されてない雰囲気ですが、全て同じ現象の事を言っています。
横ずれ堆積盆(断層盆地、構造盆地)とは、断層の横ずれ運動によってつくられた盆地のことです。
つまり、その盆地があるということは、断層があるという事です。
「え?断層って地震を起こすんだよね?って事は危険な場所ってこと?」
って思うかもしれません。
でも御安心ださい。日本にはどこにでも断層はあります。いちいち断層を怖がっていたら日本には住めません。だから安心してください(笑)
この「断層の横ずれ運動で盆地ができる」ってイメージできますか?
下の図を見てください。
これ、ネットの色々な図を参考にして自分で描いてみました(笑)
赤矢印の方向が断層がズレている方向で、この図のように
「向こう側の地盤が右に、手前側が左に動いている」断層を
右横ずれ断層と言います。逆の場合は左横ずれ断層です。
そして重要なのは、この断層は延々と果てしなく続いている訳ではないですよね。当然、ズレる範囲だって限られます。
このイラストの場合は線と点線で囲まれた範囲だけがズレていると考えてください。とすると点線で囲まれた水色の部分は穴が開いてしまいますよね?
ただ実際の地面はガッチリしたブロックではなく、土やヒビだらけの岩盤なので図のようにズバッ!とは動かず、水色の部分に土や岩を取り残しながら動いていきます。
ですので、穴が開くと言うよりは「スカスカ」になっていくとイメージしてください。スカスカになれば、だんだんと沈みますよね?
こうやって、盆地がつくられたんですね。
ちなみに、福島県の猪苗代湖や滋賀県の琵琶湖も、同じようにして出来たと言われています。
それにしても何故、「堆積」盆なんて呼ぶのか?それについては別の記事に書いてみたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
5万分の1地質図幅「岩沼」(生出慶司・藤田至則、1975、産総研地質調査総合センター)
小野裕一、安倍祥、Suppasri Anawat、Mas Eric、久利美和、後藤和久、菅原大助(2014)2011年東北地方太平洋沖地震津波 仙台平野巡検ガイドブック.東北大学 災害科学国際研究所