
少ないからこそ幅をとっている?:香川県北西部平坦地域【流域を考える旅vol.15】
香川県の北西部平坦地域は全体がほぼ扇状地(川が運ぶ土砂が溜まってできた地形)でできています。
ということは、これまでの長い年月の間にほぼ全域を川が流れたということですよね。では今の流れはどうなの?と気になったので、流域をノンビリ眺めてみたいと思います。
どこ?
場所を再確認しましょう。
香川県は四国の北東部。
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
瀬戸内海に面した県です。
北西部平坦地域は図の⑦です。
宇多津町の全域と、坂出市・丸亀市・多度津町・善通寺市・琴平町・まんのう町それぞれの一部地域です。
今回はまんのう町~丸亀市~宇多津町と見ていくことになります。
川を見る!
ではさっそく見てみましょう。
地域の南西部一帯が1つの扇状地のように見えますね。
地域内に2本のスジが見え、これが現在のメイン河川である土器川(どきがわ)と金倉川(かなくらがわ)です。
上流の南端部を拡大してみましょう。
ほぼ平坦な地形がひろがっており、その北を流れるのが土器川、南西を流れているのが金倉川です。
このように、ほぼほぼ平坦ですので、小さい川はあちこちに見られます。
土器川のアップです。
この川の特徴は、一定の幅(約200m)の範囲には一切の建物や耕作地がないことです。
地形的にも、この範囲の内部が少し低く、川はその範囲内を少しずつ流路を変えて流れているようです。
もう少し下流です。
やはり一定の範囲内が川の範囲になっているようですね。
もう1度引いて見てみましょう。
やはり主要2河川以外でも小さい川があちこち細かく流れています。
耕作地が多いので人為的に引いた水路もあるでしょう。
平坦地なので、なかなか一か所に水が集まりにくいようですね。
このように土器川と金倉川の間に小さい川がいくつも見えます。
よ~く見ると、アチコチに細かい溝が見えます。
そういう場所は大雨が降った時に浸水しやすいので、要注意ですね。
なぜ幅があるのか?
もちろん河川であれば、どの河川であっても一定の幅はありますよね。そして両側は堤防で挟まれています。
でも土器川のこの幅は目立ちますよね。
川の規模に比べて広く感じますし、この幅内には徹底的に人を入れないようにしている雰囲気です。
なぜでしょう?
それはどうも、水量が少ないからのようなんです。
え?逆では??と思うでしょう。確かにそうなんです。
水量が少ないなら、ずっと少ないなら問題ないんです。
いつも少ないくせに、たまの大雨で増水すると怖いんですね。
だから普段から一定の幅をとって人を入れないのでしょう。
瀬戸内海の気候は雨が少ないらしく、香川県の河川は流域面積が小さめなのもあり、土器川は基本的には水が少ない川のようです。
下流域でさえ渇水期には水がなくなる(川が流れない)らしく、それを「瀬切れ(せぎれ)」と呼んでるそうです。
だから!
そう、だからでしょうが池が多い!!
多いですよね。
おそらく、この地域は昔から水不足に悩んでいたようです。
そこで池をつくって溜めておき、いざと言う時に備えたのでしょう。
北東に飯野山、そして沢山の池。
引いて見てみても、池の多さが目立ちます。
ここまで多いと壮観ですよね。
空中写真でも池が多いのが良く分かります。
ちなみに、この記事を書き終わったタイミングで、土器川の水量が少ないもう1つの理由に気づいてしまいました(;^_^A
これについては、また次の機会にでも!
以上、お読みいただきありがとうございました。