【断層と地すべりが集う場所:その3】ゆるく楽しむ日曜地質学:2024年3月17日号
何だかあっという間の一週間でした。
3月も半ばを過ぎ、再来週にはいよいよプロ野球が開幕!
進学や就職で新生活を迎える人達にとっては、ドキドキワクワクの時期なのでしょうね。
断層と隣接した地すべり地形
引き続き、浜松市北西部の地域について。
地すべり地形分布図で分離小丘と考えられていると思われる山体は、私にとっては、どうもそうは見えないのです。
分離小丘の成因
まずは分離小丘の成因について考えてみましょう。
そもそも地すべりの分離小丘は、上図のように形成されるのが一般的です。
地すべりが動き、背後に生じる隙間を埋めるようにして陥没帯ができ、陥没帯前方が独立した山頂部(上図赤丸)になり、それが分離小丘と呼ばれます。
しかし今回問題となっている場所は地すべりの末端部ですので、以下の2つの成因が考えられます。
地すべりが谷を越え、地すべり末端部が対岸に乗り上げる。
地震を原因とする地すべりが高速で動き、末端部付近が先行して動いて独立した土塊になった。
しかし、どちらの場合も大きな力を受け、変形・破砕し、地質が弱くなるので侵食が進みやすくなります。
ところが問題の箇所を見ると、侵食が進むどころか急な斜面に囲まれています。とても地すべりとして動いてきたようには見えません。
平面的に見る
次に、地すべりの平面形状を考えてみましょう。
上図の赤線が、私が判読した地すべりの範囲です。黒は滑落崖。
赤点線で囲った山体も地すべりで動いたとすれば、地すべり中腹部の幅に比較して、末端部はすぼまっています。
両隣りに山体があることで、末端部がすぼまるような事例は、実際にあるので不思議ではありません。
ただその場合、末端部は圧縮されて変形・破砕し、地質は弱くなります。
しかし、この山は急斜面で囲まれており、侵食が進んでいる様子はありません。
むしろ後背地の青点線の部分の方が侵食が進んでいるのは、どうにも不自然ではないでしょうか?
では何なんだ?と気になるところですが、今日はここまで。
次回へ続きます!
今週の予告
実は先週は体調がイマイチな中、ハンサラの仕事を優先させていたため、記事は書けていません。
しかし、ある程度書けている都道府県シリーズを先に公開するこことし、以下のようなスケジュールを目標にしようと思います。
では、今週もよろしくお願いいたします。