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温暖化より寒冷化よりやっかいなこと

格差は広がる

聖書の「マタイによる福音書」の中に

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる

とあるそうだが、こういうのを経済学用語で「マタイの法則」と呼ぶそうだ。格差というのは放っておくとどんどん拡大していくということ。

さて、今年の夏はパキスタンで大洪水が起こった一方で、中国では長江が干上がってしまった。欧州も「500年に1度」の干ばつに見舞われている。これを聖書風に言えば、

降る所にはますます降り、枯れるところはますます枯れる

になってしまったわけで、マタイの法則は経済だけでなく自然界にも当てはまっている。

そして、経済にしろ、社会にしろ、自然にしろ、両極に分裂していくような状態というのは、だいたいよくない時だ。中間がいい。

個人レベルでいえば、こういうときこそ下克上のチャンスであり、「自分は優秀なので勝ち組に入る」とドヤる人もいるが、これはド近視のたまものというやつで、長期的に見れば格差の拡大した環境に勝者などいない。

社会だろうと自然だろうと、あらゆる環境は全体の絶妙なバランスの上に成り立っているわけで、そこに亀裂が生じれば、勝ち組だろうが負け組だろうが、いずれは負ける。

気候変動も格差問題

気候変動も同じだ。

いま気候変動ということが盛んに言われており、いろんな人がいろんな未来予想を立てている。海面が上昇すると言っている人もいれば、海面ぐらい上昇したって大したことないじゃないか、などと言っている人もいるし、寒冷化していくと言う人だっている。

でも、ぼくにいわせればそういうことは真の問題ではなくて、地球が温暖化するにしろ、寒冷化するにしろ、じわじわと平均的に起こるのならそれほど問題はないと思える。気候変動の真の問題は、気候のバランスが崩れるということで、、つまり、気象の格差が広がるのが一番の問題でではないだろうか。

経済学風に言うなら、一番厄介なのは、地球の温度そのものが上昇トレンドに入るか、下降トレンドに入るかということよりも、

ボラティリティ(変動率)が上がる

ということだろう。つまり気候の変動幅が大きくなり、干ばつと洪水がめまぐるしく入れ替わるような状態がおそろしい。

この先、温暖化したとしても寒冷化したとしても、不自然に高温化する場所と、不自然に寒冷化する場所のまだら模様になるはずで、干ばつで農作物が枯れる地域と、洪水で腐る地域に二極化していくだろう。パキスタンと長江みたいに分かれていくのだろう。そして2極化した先に勝者はいない。

自分なりの対策

何度も書いてきたけど、ぼくはここ数年食料問題にかなり危機感を抱いている。そして、

日本人はやはり米だ!

という結論に至っており、コメ作りに取り組んでいる人とのつながりもできてきた。

いまは収穫が終わった時期なので、さいわい来年1年分くらいのお米はすでに確保できたんだけど、生産者の方とコミュニケーションしていて痛感させられたのは

米とは水だ

ということ。米は水田で作られるのでまさに水の恵みなのだ。

しかしそもそもあらゆる食料をつくるには膨大な水が必要になる。NHKでこういう番組も見た。

牛丼1杯つくるのに1890リットル、ペットボトル3780本分の水が必要だそうだ。そして、イラクでは水をめぐってすでに殺人が起こっているし、隣国のエルドアン大統領は

かつて石油をめぐって争いが起きたように、これからは水や食料をめぐって争うことになる

と言っている。

その中で、日本は地理的条件でいうなら、干ばつよりゲリラ豪雨のほうが心配な湿潤な地域に入る。

とはいえ食料の多くを輸入に頼っているので、外国で干ばつが起きたらしわよせがくるのはまちがいなくて、そして、干ばつはたぶん起こる。せっかく水の豊富な国なのだから、せめて米と野菜だけは何とかしなくてはいけない。

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