ドキュメンタリー映画『大統領の執事の涙』レビュー(ネタバレ)
アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガン。
1950年代から80年代にかけてホワイトハウスで7人の大統領に仕えた黒人執事、ユージン・アレンをモデルとし実話をベースに制作された映画。
2008年、歴史を変えた大統領選挙。
バラク・オバマがアメリカ史上初の黒人大統領となった際、ワシントン・ポスト紙に掲載された記事がもとになっている。
黒人版『フォレスト・ガンプ』ともいわれる本作。
国に仕える父、国と戦う息子。
黒人としての誇りと、異なるアイデンティティを持つ2人。
黒人目線から見た壮絶なアメリカの歴史を、この親子の対照的な生きざまが物語っている。
時代が変われば常識も変わる。
それは時間が経てば自然と変わっていくものではなく、どんな逆境にも負けず、信念を貫き戦い続けた人達の存在があってこそ実現するものである事を深く感じた作品だった。
それぞれの道を歩み、辿り着いた先で分かり合う事ができた親子。
自らの為、愛する者の為、全ての人たちの為、世の中が良い方向に変わる事を願う気持ちは同じだったはず。
これからいくつも時代が変わり、また常識も変わっていくであろう世の中が、互いの違いを否定し争い合うのではなく、互いの違いを理解し認め合う世界であってほしいと思う。