離れてみないとわからないって本当だ
私は山梨の八ヶ岳の南麓で育った
目に入る物の8割が自然
(ちなみに今は実家がさらに山に引っ越しをしたので、割合は9割に増加)
ピザも届かない
電波はもちろん悪い
一部地域を除く と書かれたテレビはだいたいの確率で一部地域に入っている
街灯はなく夜は恐ろしいほど真っ暗で
夏になると田んぼにいるカエルの鳴き声が町中に響き渡っていた
想像のつく限りを尽くしたようなTHE・田舎である
私はそんな田舎が嫌いだった
地元にとどまる理由なんてひとつもなく大学入学と同時に当然のように田舎を出た
徒歩圏内のコンビニが嬉しくて
遅くまで電車が動いていることが嬉しくて
用もないのに夜のコンビニに行ったりした
何一つ不自由な事なんてなくて、所詮学生が望む程度の希望
なんでもできた
大学生活も後半になると当然就職の波がやってくる
地方銀行で勤める話が出るも大学生活の4年間では東京での生活を捨てるには物足りるはずもなく
親には事後報告で東京のベンチャー企業に就職した
オフィスは港区
西麻布や銀座、渋谷で会社終わりを過ごす時もあった
そんなことを経験しながら東京で暮らし始めてもうすぐ8年目を迎える
一人暮らしの自宅は都内の小さなマンション
狭いベランダから見る少し霞んだ空は雄大さにはかけている
すぐに届くピザの代わりに深呼吸したくなるような爽やかな空気はなくなった
町中に響き渡っていたカエルたちの声は深夜まで走る電車や車の音に変わった
東京が好きだ
まだまだ東京で暮らしたい
でも離れてみると育った環境の豊かさに気がつく
「まだ」東京でくらしたい
「まだ」地元には戻れない
そんな「まだ」が生まれたのはきっと一度離れたおかげ
離れてみないとわからない
離れてみて初めてわかる贅沢さを知る
そんなよくある話
おわり
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ちなみに写真は自宅からほどない隠れ湧水スポット
今でこそ自然に癒しを感じるが、多感な時期にこんなに山奥で暮らす事の窮屈を想像してみてほしい。笑