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梅本佑利『昨日の夜はホックニーのペーパー・ドレス・ヴィンテージで、ラッズたちのモッシュで揉みくちゃになりながら、気づいたら終電間近で急いでいた』
月刊アルテス 連載・多元世界の音楽より、10月号『昨日の夜はホックニーのペーパー・ドレス・ヴィンテージで、ラッズたちのモッシュで揉みくちゃになりながら、気づいたら終電間近で急いでいた』 からの切り抜きをご紹介。
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2024年3月15日
昨日の夜はホックニーのペーパー・ドレス・ヴィンテージで、ラッズたちのモッシュで揉みくちゃになりながら、気づいたら終電間近で急いでいた。
電気の消えた古着屋のショーウィンドウには年代物のドレスが並ぶ。1920年代のフラッパーたちの黒いドレス──ビーズやスパンコールで飾られたシルクのドロップウェスト、1970年代のサイケデリックなマキシドレス。いっけん、閉店して静まり返ったこの店の裏側には、200人くらいが詰めこまれたアンダーグラウンドなクラブハウスが隠されている。産業革命時代からイースト・エンド最貧国地区のここハックニーは、1990年代以降からファッショナブルな若者の聖地。このイカした店の面がまえは、まさにそんな彼らの熱気の象徴だ。
「アストロフィジクスはぼくと彼女のこと」──彼が彼女の肩を抱いて言った。
「ああいう奴らをladsっていうんだ」──そう言ったのはベンだった。
「深夜はお金を払わなくてもいい」──どこからかそんな声が聞こえたが、それが合法だったのかはいまになって疑っている。
彼のお父さんのiPadからBBCニュースの深刻なテーマ曲がシャカシャカと流れていた。
なんだかきれいな泥だな、と思った。
世間話、アメリカのコメディドラマSuccessionの話、兄妹が小さいころ、家族でスキー旅行に行ったときのこと。窓の外、珍しい鳥がなんどか庭のテニスコートのほうを行ったり来たりすると、妹はすかさず双眼鏡で追っていた。
ピアノに貼られた黄色とピンクの付箋にはメモ書きが残されていた。
Epic EDM
for Felix
Jack Linda
Fly Daisy
「ねえ、電車、いつ出るの?」
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photo: (c) Sophia Hegewald