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イギリスの移民受け入れが大幅に厳格化へ。来春より発効【全文無料】

今日はホットなニュースをお伝えします。


移民数の急増を受け、内務相が厳格化の計画を発表

2022年のイギリスの純移民数(※他国からイギリスに移住する人の合計から、イギリスから他国に移民する人の合計を引いた数)が過去最高の745,000人に急増。かつてこの数字を年間10万人以内に収めたいと言っていたこともあるのに、ぜんぜんまったくダメやん…ということになりました。

そもそも、ヨーロッパの中ではやはりイギリスは移住先としてはぶっちぎりの人気。ポンドも強かったし、英語も通じるし、文化的・制度的な強さもあり、東欧などから移民が集まりすぎたことが地元民の一部の反感にもつながって、EU離脱の一因ともなりました。

これまでにもあの手この手で移民数を抑制する方向でがんばってきたのですが、むしろ増えてきてしまったので、ジェームズ・クレバリー内務大臣が本日、さらなる厳格化の計画を発表。これによって、昨年に入国資格が与えられた人のうち、30万人が入国できなくなるとのこと。うまく行けば、移住者を今の5分の2ほどに抑えられることになります。

具体的に何が変わるのか?

以下が主な変更点です。

■就労ビザ(Skilled Worker Visa)の取得に必要な最低給与を26,200ポンド(約490万円)から38,700ポンド(約720万円)に引き上げ

これ、かなりヤバいですよね…。たとえば日本からIT系や金融系などのベテランとしてイギリスで就職を決める人なら、この給与はクリアできると思うんです(※上の数字は円安なので高く感じると思いますが、日本の給与で言えば600万円くらいになるイメージ)。

一方で、非常に厳しくなるのは、日本からイギリスの大学・大学院に進学し、そのまま現地就職を考えていた方々や、YMSから就労ビザへの切り替えを狙っていた方々。就労ビザはそもそもスポンサーとなる企業の金銭的な負担があるので、特別なスキルやコネがないとなかなか出してもらえません。さらに、いわゆる新卒で38,700ポンドの給与をもらえるケースはレア。

イギリスの大学・大学院への進学、YMSでの渡英を予定している方は、他国への方向転換ができかもしれませんが、すでにイギリス国内にいらっしゃる方の中にはショックを受けられている方も少なくないのでは💦

■医療・介護従事者が扶養家族連れで渡英することを禁止

医療・介護従事者には上記の給与制限は適用されませんが、その代わりに扶養家族の帯同が不可になります。これもまた該当する方にとってはショックなはず。病院や介護施設からは「さらに人手不足になる」「経営が破綻する」とすでに悲鳴が上がっています。

■人手不足の職種リストに掲載されている仕事に関して、企業が労働者に支払う給与を一般的な給与よりも20%低減できるようにする

ええと、これはちょっとややこしいのですが、給与を安くすることによって移民労働者にとっての魅力をなくす…ということなのかな。人手不足なのに、そんなことして大丈夫なのかしら😅

■外国人労働者が支払うNHS(国民保健サービス)利用料を年間624ポンド(約12万円)から1,035ポンド(約19万円)に引き上げ

NHSに加入すると治療や入院などがすべて無料というのは今までも書いてきましたが、期限付きビザで滞在する方は毎年一定額を支払っています。それが1.5倍くらいになるんですね。そうなんですね…。

■家族ビザの最低所得を18,600ポンド(約350万円)から38,700ポンド(約720万円)に引き上げ

これも、当てはまる方にはめっっっちゃヤバい変更です。外国籍の配偶者や子どもなどを呼び寄せる場合、スポンサー(イギリス国内にいる配偶者や親などを指す)は年間18,600ポンドの収入があることが条件となっていました。それが一挙に38,700ポンドに…!!

前述のとおり、38,700ポンド=日本の感覚で言えば600万円くらいなので、比較的高収入な人しかこれには当てはまらないんですよね。サービス業や看護・介護職、年金暮らしなどの方は海外から家族を呼べなくなってしまいます😨

■乱用を防ぐために新卒ビザルートを見直しへ

イギリスの大学・大学院を卒業した留学生は、一定期間、イギリスに滞在できるという決まりになっていましたが、これも見直しになりそうです…。

発効は来春から。アクションはお早めに

わずかに救いがあるとすれば、これらの変更は来春からスタートするという点。とくに就労ビザや配偶者ビザなどの方は、同じような考えの人が一気に殺到することが容易に予想されるとは言え、今すぐアクションをすることでギリギリ間に合う可能性があります。成功を祈ります!!

まとめ:今後も厳格化の方向に傾く可能性が大

今回、このタイミングで急いで発表があったのは、来年末くらいに実施されるであろう総選挙を見込んでのことです。現在、与党(保守党)は非常に分が悪く、このままでは大敗の可能性が高いのです。しかし、有権者の中には「移民政策」を重視する人が多いことから、今回はそういった人々へのアピールとして急進的な対策を発表しました。

それはそれとして、今後もおそらく移民に関してはかなり厳しくなると予想しています。「え、今にしようかな。どうしようかな」という方は、なるべく早く動いた方が良いかもしれません。

イギリス国内でも、イギリス人で看護職や介護職に就く人を増やしていこうということで、アイディアとしては素晴らしいのですが実際にそんなに順調に行くのかはかなり怪しいところ。ど、どうなるのかな…?😅

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