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ロックダウンは有効か?イギリスの一般市民として感じた5つのメリット【全文無料】
「日本でもロックダウンを」という意見が強まる中、実際のロックダウンの体験からメリットを教えてほしいというリクエストをいただきました。ありがとうございます!
たしかに日本はロックダウン未体験なので、何が起こるのかと不安は大きいと思います。わたしが個人としてイギリスのロックダウンで感じた長所をご紹介しますね。何かのご参考になれば幸いです😄また、今回はメリットに焦点を絞りますが、もしも好評なようならデメリット編も書きます。
大前提:「ロックダウン」と言ってもその実情は国によってさまざま
まず、最初に強調しておきたいのが、「ロックダウン」の在り方は国によって大きく異なるという点。ウォーキングやジョギングさえダメな国、移動距離が自宅から〇kmと制限されている国、罰金の額など、実にいろいろです。
その中で言えば、イギリス(イングランド)のロックダウンは、
・エクササイズ目的での外出OK
・厳密な移動エリア(〇kmなど)の制限なし
・必要な外出時に書類などの携帯不要
で他国と比べるとわりと緩い方だったのではと。何しろ段階的な緩和期間も含めると322日間(3回の合計)のロックダウンだったので、厳しすぎると誰もついてきません😂
つまり、「ロックダウン」と言ってもその内容は自由に決められ、さらにずっと一律のルールではなく状況によって変えていって良いわけです。ですから、「日本でもロックダウンをすべきかどうか」という議論は実はナンセンスで、「何らかの行動制限とそれに対する罰則を科すか」という議論になるべきだと考えています。
☆メリット①非常事態の認識と新型コロナに関する知識の定着
いちばんはコレかなと思います。とくにイギリスの初回のロックダウン(2020年3月23日に開始)ではその効果が高かったかと。
ロックダウンに入って生活が一変したことで、国民それぞれが危機意識を持ってニュースを見たり、新型コロナウイルスや過去のパンデミックについて調べたりしました。イギリスでワクチン接種が他国よりも早く進んだのも、ロックダウン中に一次資料を熟読したり周囲の人と話し合ったりする時間が十分にあったからだと思います。
☆メリット②国からの財政的な補償による安心
お金の面で言えば、イギリス国民のほとんどはさほど苦しむことはありませんでした。政府が手厚い補償を行ったからです。詳細は割愛しますが、ロックダウンで働けなくなった会社員と、収入が減った自営業者は、ロックダウン中は80%の補償金を受け取っています。このため、「旅行もパーティもないし、むしろ貯金が増えた~💰」という人が多いほど。
「客足が落ちているのに営業を続けざるをえない」「感染リスクがある中で出勤を強いられる」という状況より、ロックダウンで強制的に休業となる代わりに補償金がもらえる方が安心という人も多かったと思います。
☆メリット③感染者数の顕著な減少
ある程度コロナが蔓延してしまったイギリスでは、ロックダウンによって感染者がゼロにはなりませんでしたが、やはり大幅な減少効果がありました。まあ、人同士の交流が減るので当たり前ですよね。
これによって入院者数や死亡者数が抑えられ、NHS(国民保健サービス)の負担を少しでも取り除くことができたのは大きな成果ですし、そもそもこれがロックダウンの第一目的でした。
☆メリット④支援ネットワークの発生
先進国では普段、多くの人が自立して生活できます。しかし、ロックダウンに入ったことでイギリスでも助け合いが必要な場面が増え、自然発生的にさまざまなネットワークが構築されました。つまり、地域ごとに買い物を代行したり処方薬を取りに行ったりするようなボランティアコミュニティが次々に生まれたのです。ホームレスなどに対する寄付も盛んでした。
このような支援ネットワークが生まれ、善意の人たちによって運営されてきたことは、感動的でもあり、今後またロックダウンが実施されたときはもちろん、その他の天災などの非常事態時にも大いに役立つでしょう。これは社会の財産と言っても良いと思います。非常事態において「物質的および精神的に孤立しない・させない」ことほど重要なことはありません。
☆メリット⑤コロナ禍に対応したライフスタイルの構築
ロックダウンで生活が大きく変化したことを受け、また①の危機感とパンデミックに関する知識の浸透により、「もうこれは半年や1年でどうにかなる問題ではないから、生活をコロナ仕様に変えるしかない」と悟ったのは、イギリス人はかなり早かったと思います。
具体的には引っ越しをする人がとても増えました。わたしの周りでも何人かが昨年のうちにロンドンやバーミンガムなどの都市部のフラット(マンション)から地方の一軒家へと引っ越していきました。現在もこのブームは続いています。
引っ越しまではしなくても、家にオフィススペースを作ったり、ハイキングやガーデニングを新たな趣味にしたりと、ほとんどの人が「コロナ禍が長引いても良いように」ライフスタイルを大きく変えています。自分で髪を切る人も増え、いろんな点で自分を変化させているのです。
まとめ
全体的に言えば、感染者を減らせたのはもちろん、国民の新しい生活への適応という点でロックダウンは有効だったと感じます。
もちろん何事もそうであるように、ロックダウンには負の側面も少なからずあります。しかし、わたし個人はイギリス政府がロックダウンに踏み切ったこと自体は(タイミングがまずかった時があったのは確かですが)高く評価していますし、また今後あっても受け入れるでしょう。もしもイギリスが一度もロックダウンをしていなかったら…?想像するだに恐ろしいっ😅
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