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ディセンダントーアセンダントの自分を映し出し引き出す鏡

アングル(アセンダント・ディセンダント、I C・M C)にある天体は特に強い衝動を持ち、顕現していこうとします。でも、その天体のパワーや衝動は自分では意識化しにくいものでもあり(特に土星以降の天体は意識しにくい)、非常に重要なポイントになるものです。うまく天体の力を意識化できないと意識できるようにするための(インパクトのある)出来事や人との出会いとなって現れるでしょう。




その中で、ディセンダントは対人関係を示すポイントであり、人生のステージでいうと社会人デビューでもあります。アセンダントは自分自身、ディセンダントは(一対一の)相手です。他者・相手であると同時に、ディセンダントは他者の眼差しや存在を通じて現れる「もう一人の私、意識化していなかった私」でもあるのです。




言い換えるならば、1️⃣ディセンダント近くにある天体は「その天体の力を相手に委ねてしまい、自分のものとして使いにくい」傾向を持つ。2️⃣その天体の力を相手の中に見てしまうので、その天体のような性質を持つ人に惹きつけられ、ご縁が出来やすい。3️⃣その天体の力は自分の意思ではうまく使えないけれど、他者の存在によって強く引き出され、成熟していく傾向を持つ。



この概念が理解できると、全ての天体を当てはめることができます。たとえば、A子さんの火星がディセンダントに触っている場合(前後5度以内程度)、A子さんが火星を未熟な状態で使った場合は、パートナーや夫に喧嘩をふっかけたり、攻撃的な態度で接するという現れ方をする可能性があります。(そもそも血の気の多いエネルギッシュな火星タイプが好きであり、自身の火星が相手の存在によって引き出されるため)




また、自分のために目的意識を持ったり、行動を起こしたりすることは苦手なのですが、人のために火星を使おうとした途端に、すごいバイタリティと行動力を発揮することができるでしょう。(火星は情熱でありパワーの源)人のニーズに応えるため、人の役に立つため、人を守るため(配偶者や大事な人の痛みや重荷を共に背負っていこうとする想いを力に変えること)、あるいは社会全体の利益のために戦うーそんなモチベーションで使うならば、スムーズに働くようになるのがディセンダント付近にある火星です。



女性の火星がディセンダントに触っていると、自らの男性性(内なる男性性・アニムス・創造性や行動力)を相手に委ねてしまう傾向が強くなります。人生の早い段階ではシンデレラ・コンプレックス(お姫様願望という男性への依存心)が強かったり、火星の力を使いにくいですが、対人関係(主に一対一の関係、中でもパートナーとの関わり)において、徐々に火星の力が引き出されて、磨かれていくことになるでしょう。



松田聖子さんは魚座火星がディセンダント近くに位置しています。6度近く離れてはいますが、強く発露しているように思われます。生来は火星を他者に委ねる要素を持っていながら、それを反面教師のようにして、しっかり自分のものとして使った好例(自分の欲しいものを自分で取りに行き形にしていく人生)だと思います。




魚座火星であれば、いわゆる「火星」のイメージは一見薄れ、目的意識や戦う力、モチベーションは「魚座的に内に秘めて、でも強く」発揮されます。聖子さんは「歌うことが私の人生そのものであり、辛いことがあっても歌手をやめようとは一度も思ったことがない」ーそう話しておられました。



実は、滑舌を良くするために医療行為を受けたり、英語の発音がよくないと指摘されたら努力して英語を身につけたり、若い時はジョギングを日課としていたり、相当な努力家です。それは「歌うことで人に夢や希望を与えたい、そのために理想と信念を形にしたい」というディセンダント付近にある魚座火星が強いモチベーションとなっていたからではないかと思います。



結果的に、松田聖子という存在は「自分の人生を自ら切り開く、自由で自立した女性のシンボル・アイコン」になったと思います。内側の信念が外に向けて強く発揮されたからこそ、永遠のアイドル・特別な存在になったのかもしれません。ディセンダント付近に天体があれば、それは鏡としての他者(あるいはオーディエンスや社会)を通じて、その天体の力を大きく引き出していくことになるでしょう。



自分のためなら頑張れないけれど、誰かのためであれば力と勇気が百万倍湧いてくる!それを自らの内側に発見していくことで、「意識化していなかったもう一人の私」が出てきます。自分のために(自意識や自己愛で)それを握りしめていたら、いつまでもうまく使えない。だからこそ、相手の眼差しや存在を通じて、「自分の弱さや闇」に気付かされることもあるでしょう。



鏡としての他者の存在を通じて自分を発見し、そして、内側にある力を発揮して、自分自身を成長させていく、世界を照らしていくー
ディセンダントにある天体はそのような性質を持っています。




○月がディセンダントに触っている場合、お世話をする、ケアをする力が他者を通じて引き出されるため、家族や誰かのケアをすることが好きな性質になりますし、繊細な人とご縁ができやすいでしょう。(おそらくはご自身も敏感で繊細な性質です)また、他者を通じて、自分自身の深い内面に気づいて、ケアしていくことにもなるかもしれません。さらにはお母さん的役割(メンタルケア的なお仕事、サポートするお仕事)、または文学的で詩的な才能を使ったお仕事(人の心の奥の暗闇にそっと触れるような表現で癒す、慰める)で能力を発揮することができるかもしれません。




○土星がディセンダントに触っている場合、一対一の人間関係を通じて、大きな葛藤や試練を体験したり、パートナーシップを確立させていくプロセスを通じて、カルマや課題を解消していくことが多いでしょう。関係性を通じて成熟した克服力と責任感のある人間性を育てられていく。女性であれば、土星的な男性(威厳があり父性的、年齢が上の相手、安定感があり真面目でストイックな人、社会的地位や経済力がある人など)を好み、ご縁ができやすい傾向があります。結婚生活や夫婦関係もだんだんよくなる傾向があり、一度目の結婚でうまくいかずとも、二度目以降はとてもうまくいく、そのようなケースが多いと思います。




アセンダントは私たち自身であり、私たちの人生を運んでいく力でもあります。しかし、自分の顔を直接に目視することができないように、自分なるものは自分一人では意識化できません。多くの場合、鏡としての他者を通じて、自分自身が深く発見されていきます。


自己と他者はワンセットであること、相手は鏡であることを教えているのがアセンダント・ディセンダント軸でもあります。相手の中に見る美点も醜悪さも自分の中にあるものがリフレクションしたものですが、それは自我が受け入れ難いこと(痛い事実)なので、「引き出されよう、意識化されようとしている何か」と捉えた方が受け入れやすいと思います。



ディセンダントは関係性を通じて段々と発見され発露していく性質を持つので、ディセンダントやその付近にある天体(または小惑星や感受点)を成長させていくことで、人生の行き詰まりや何らかの制限を突破していくことができます。なぜだかパートナーシップがうまくいかない、なぜか人生を思うように生きられない、依存心が強く力が出ない・・・そんなあらゆる行き詰まりを突破していく大きなポイント・トリガーとなるものを示していることが多い、とても重要なものです。

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