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そんなの大したことないよとあなたは言うけれど

恋人に悩みを話したとき、「そんなの大したことないよ」と言われるのが苦手だった。

私には「大したこと」なのに。「大したこと」だから悩んでるのに。コトの重大さすら受け止めてもらなかった、些細なことでくよくよしてるヤツと思われた・・・そういう風に感じてしまうタイプだった。

「だった」、と過去形にしたのは昨日のけもなれ(ドラマ「獣になれない私たち」の略)が理由だ。

自由気ままに生きているように見える呉羽にも、実は隠していることがあった。病気で子宮を全摘出し、一生子どもを産めなくなった。

恒星のことは好きだけど、もしそのことを彼に伝えたらきっと「大したことない」と言われてしまうだろう。そう思った呉羽は、けっきょく恒星にその事実を伝えられなかった。そして別の人と結婚した。

自分にとっての「大したこと」を分かち合えない相手とは、ずっと一緒にはいられない・・・。そう思う呉羽の気持ちは痛いほどわかる。

じっさいに恒星は、呉羽の病気のこと・子どもが産めないことを「大したことない」と言ってのける。だけどその理由は、呉羽の苦悩を小さく見積もっているからではなかった。

「呉羽は呉羽だから」と彼は言う。恒星にとって呉羽の病気が「大したことない」理由は、恒星が呉羽という人間を丸ごと好きだからだ。無条件で彼女を愛していたからだ。たとえ呉羽と結婚しても、二人の子どもを産むことはできない。だけどそれが彼にとってはなんんらマイナスにはならない。

辛いねと一緒に涙を流してくれる人だけが優しいわけじゃない。泣かない優しさもある。そう思った第6話でした。


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