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レピュテーションの時代
キラキラな写真と華やかなPRリリースをFacebookのフィードで見ながら、隣のタブでOpenWork(Vokers)を開き、
「この会社、社内ボロボロなんだな」と思っていることがあります。
なかなか、いじわるな視点なのですが、
採用広報という観点で、昨今、企業評判サイトが無視できない存在になっているのは確かだと思います。
転職サイト「en」の登録者に行ったアンケートの結果では、
「就職活動中の情報収集はどのように行うか」の質問に対し、
「口コミサイト、口コミ検索」と回答した人は
2015年時点 3位 59%(1位企業HP、2位企業HP内採用ページ)
2017年時点 2位 71%(1位企業HP、3位企業HP内採用ページ)
という結果になっています。
https://partners.en-japan.com/special/old/171206/2/
採用ページより見られているのが、口コミ、つまり企業の評判なのです。
企業の評判や評価を確認する動機を見ると、「企業のサイトはいいことしか書いていないから」という内容が目立ちます。
Openworkや転職会議などの口コミは「辞めたい人、辞めた人バイアス」がかかっているので、各企業の評判について個別に「良い」「悪い」と判断するのは乱暴なのですが、
同業他社、同規模の企業、同じ地域で展開している企業、わかりやすく競合企業、と比較することはできると思います。
そして、同じように求職者が他社と自社を比較していたら・・・と思うと、うかうかできません。
自社が、選ばれない理由がそこにはたくさんあるのですから。
さて一方、面白いなと思う事実があります。
転職エージェントをしている友人の話を聞くと、まったく人材が採れない企業がある一方、応募が殺到して捌ききれずに人事がパンクしている企業もあるというのです。
その企業へ応募した人の意向を聞くと、一昔前のように、
「大企業だから」「上場企業だから」「有名企業だから」
という理由もあるのですが、他に理由を掘り下げていくと、
「働いていて楽しそうだから」
「働いている人や社内の雰囲気が良さそうだから」
「会社の理念(や経営方針)に共感できるから」
と、カルチャーや哲学も含めて企業を選ぶことが、肌感として増えてきたように思う、と言ってました。
(「元からそういう志向があったけれど、顕在化しなかっただけかも」とも)
現在、求人に関するあらゆる媒体を見ていると、企業のカルチャーを前面に押し出した採用ページを多く見かけます。
働いている人、オフィスの雰囲気、経営者の人柄、会社のバリューなど情緒的な訴求をしているコンテンツを掲載している企業の多いこと。
GoogleのようにCCO(ChiefCultureOfficer:最高文化責任者)をおく日本企業が出て来ていますし、何かと「企業のカルチャーどうなの」という考えが、身近になってきているのでしょう。
さて、この流れで、今年6月にリリースされた、ノースサンド社の調査をシェアします。
経営理念と働きがいに関する調査で、年収が高い人ほど、転職活動の際に企業の経営理念を重視する傾向が出ています。
ビジネスパーソンが、企業の人格を捉えようとする姿が見えてきます。
理念、哲学、文化を捉えて、企業を選ぼうとしているのだと思います。
少し飛躍しすぎかもしれませんが、自分のビジネスパーソンとしての存在意義と社会の関係性(関連性)を、企業にもとめる人が、一定数増えてきているのではないかと思います。
これからの時代、優秀な人材を採ろうと思うならば、企業の哲学を上手に社会に浸透させていくことがマストになると思います。
採用広報という観点で、企業の評判という話から入りましたが、採用のために、企業のレピュテーションを上げようとするのは本末転倒だと思います。
当然ですね。手段が目的になってしまっているからです。
採用のためにレピュテーションをあげるのではなく、企業風土をよくしていくことが、レピュテーションの向上に、そして採用にポジティブに働く・・・と段階的なものだからです。
では、企業風土ををあげるためにすることは何か。
それは、シンプルなことです。
従業員の満足度ややりがいを上げていくこと、社内のコミュニケーションを促進し、その上で血液が流れるように企業哲学が浸透していくこと。
シンプルだけど、とても難しいこと。
でも盤石な企業基盤をつくるために、「人」をないがしろにしてはいけません。
世間の評判は、あとからついてくるものです。
まずは従業員の評判づくりに取り掛かりましょう。
評判はブランドと同じ、時間がかかるけれど、できあがればなかなか崩れないものです。
そして、良い評判ができた土壌へ放たれたニュースリリースには、ちゃんと真実と命が宿ると思います。