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花と野菜のフィトピグメント(植物顔料)

相変わらずフィトピグメント(植物顔料)を作り続けています。
今年の春先から秋までは、染料植物ではなく、食材やご近所の雑草など、いわゆる染料植物ではないものからの色素抽出と顔料化に取り組んでいました。
その中で、アントシアニンに属するもののコレクションをご紹介します。

お花や野菜の色素、アントシアニン

花や野菜の 赤〜紫〜青系統の色素は大抵アントシアニンの仲間です。
化学構造的な話はややこしくなるので、綺麗に分類整理されているウィキペディアなどを参考にしてもらえばよくわかるかなと思います。


赤いお野菜

アントシアニンと染色

薔薇の花そのものの色で布を染められたら素敵、と思うのですが、
pHで色が変化したり、多くの染色に向く色素がマイナスに帯電しているのに対してプラスに帯電しているのでやはりプラスに帯電している繊維には染め付きにくかったり、そもそも不安定で色持ちが悪かったりで、工業的な染色はもちろん、手仕事の領域であってもある程度の堅牢度が欲しい場合には使いにくいものになります。染める場合にも一般的な金属イオンによる媒染ではなく、花びら染めなどと呼ばれる特別な方法を使います

アントシアニンからのフィトピグメント

布への染めには向いていないのですが、いろいろやってみる中で7割くらいの確率で顔料化はできることはわかりました。
以前に紫キャベツで青い顔料を作った話を記事にしています

この時は青い顔料でしたが、その後いろいろ試してみたところ、植物(色素)によって、紫〜青〜緑の顔料が得られることが分かりました。これが7割。
残りの3割は、色が消えてしまって、真っ白(体質顔料の色)だったり、アントシアニンと一緒に含まれていると思われる黄色だけが残ったりするものです。

2月〜10月までに作り溜めたもの、一部ではありますが、紹介します。

フィトピグメント(植物顔料)

写真は私が観察した色変化の傾向で分けてあります。
煮出し汁 → 顔料の色 の変化で、およそ3グループあるように思います。
(色が残らないものを加えると4グループ)

A)青みのあるピンク(紅くるり大根、黒豆、ストック紫) → ピンク〜紫
B)濃い赤紫色(紫キャベツ、紫ダイコンの皮) → 青
C)青みのない赤(パンジー(チョコレート)、ストック赤)→ 青緑〜緑

写真にはありませんが、
ローズレッド(ハーブ)は緑色になりました → Cグループ
巨峰の皮はまだ乾燥途中ですが、煮汁は紫、顔料は青みのあるグレーになりそうで、Bグループ?
ローゼル の顔料は赤みのある紫色 →Aグループ
色のある顔料が取れないのは、バタフライピーのような元々青いものです。

植物を煮出した染液は酸性〜弱酸性で、顔料は中性〜弱アルカリ性のために上記のように色変化するのですが、例えば下のようなグラデーションだったとすると、左が酸性寄り、右がアルカリ性寄りで、上記のグループ分けは実は色素の分類で、色素グループごとにpHによる変化幅の違いがあるのかな、みたいに考察しています。

羊毛染めもしています

一部の色素は、顔料化と一緒にフェルトと羊毛を試し染めしているので、並べてみてみます。
紫キャベツは顔料も羊毛も青、ローゼル は自身の酸性が強いため染めはかわいいピンク、顔料は青みが出て紫です。紫キャベツのひとつとストックの染めの色がくすんでいるのは、まだ試し染めを始めた頃で、羊毛をうまくアントシアニンで染めるコツを掴む前でした。
(話がそれますが、そのコツとは、通常の羊毛染めのように煮ないことです)

まだまだ実験中

余談ですが、お花は咲いているものをゴメンねして摘んで煮出すしかないのですが、野菜に関しては、少量でお試しするレベルの場合はちゃんと食べることを前提にしています。
紫キャベツは浅漬け用に塩揉みした時の搾り汁、紅くるり大根は甘酢漬けの汁の方、黒豆は戻すのに浸した水、とかいう感じです。

ナスとかベリー類とか、染めと合わせてまだまだ実験続けます。
これらの顔料は染めと同じで堅牢度が低く、半年〜1年も経つとかなり薄くなってしまいます。なので長期保存しない用途で楽しむ方法もこれから開発していきたいなと思っています。素材はすぐ手に入るものが多いので、毎年季節に作り直すのもいいよね、って思えるものがいいんじゃないかなと。

下写真は赤かぶの甘酢漬け中。
やはり汁の方で実験を。。。と思っていたのですが、皮しか赤くないので、溶け出し量は微妙。やむを得ないので皮を剥いて再チャレンジかも。

赤かぶ

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