見出し画像

この絵の中に入るとしたら・・・

少し前になりますが、0〜2歳ごろの子どもを子育て中のお母さんたちを対象に(赤ちゃんや子どもたちも一緒に)、アート作品のおしゃべり鑑賞会を開きました。

今年盛り上がりを見せたパリ五輪にちなんで、
パリの美術館を、旅行気分で巡りましょう!というコンセプトでの鑑賞会。
(ちなみに、オリンピックとパラリンピックは、競技というより主に開会式のみを配信で見た程度なのですが、あのフランス人の粋で奥深くて、ウィットに富んでいて、世界中で様々な憶測と議論を巻き起こした演出がたまらなくて、別に何者でもない私ですら「さすがフ・ラ・ン・ス!」と感心したのでした!)

(脳内で)訪れた美術館は3館、そして3作品を鑑賞しました。
ルーブル美術館では、《サモトラケのニケ》を。
ポンピドゥー・センターでは、シャガールの《エッフェル塔の新郎新婦》を。
そして、最後にオルセー美術館では、ゴッホの《ローヌ川の星月夜》をみんなで見ました。

《ローヌ川の星月夜》

とりわけ参加者から意見が出たのは、最後に見た《ローヌ川の星月夜》。

「この絵の中に入ったとしたら、どんな空気感でしょう?」
「この絵の中に入るとしたら、どこに立ちますか(座りますか)?」
「たくさんお金があって、この絵を手にいれることができるとしたら、家に飾りたいですか? 飾るとしたらどこに飾りますか?」

などなど、私も問いかけながら進みます。
それぞれの考えや感想を伝え合い、少しずつ鑑賞が深まり、
「みんなで見た絵」「親子で見た絵」として、
個々人の記憶に、刻まれるのかもしれません。


ちなみに、この翌年に、ゴッホは同じく夜空をテーマにした《星月夜》を描きますが、皆さんと比較して見てみると、明らかに異なる雰囲気に「全然ちがう〜!」という声。
同じ人物が描いていても、その時彼を取り巻く状況、精神状態が反映されたのか・・・興味深いねという感想が出るなど。

《星月夜》


赤ちゃんたちも割と穏やかに一緒に作品を眺めつつ、遊びつつの鑑賞会。
淡々と、静かに、パリの美術館を巡る作品鑑賞会が終わりました。

今度は4・5歳児の子どもたちと鑑賞してみようと計画中。
生きている年数も背景も違うので、きっとまた別の盛り上がりを見せることでしょう。