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京都SM官能小説 『縄宵小路』 プロローグ

白石優里香、43歳、シングルマザー。

縁あって彼女が京都にある我が高辻家別邸の家政婦となり一年あまりが過ぎた。その一年ほど前までは東京の山手で専業主婦として家族に囲まれ、何不自由なく幸せに暮らしていたという。

宝塚の娘役出身女優にも似た上品で美しい顔立ち。
肩にかからぬ程の長さだが優雅で艶のあるダークブラウンの髪。
初対面のときに着用していた半袖の白いブラウスと、
青みがかった紺のロングスカート。
その袖口や裾から見える色白でほっそりとした手首や足首。
そのどれもがとても凛として清楚な雰囲気を醸し出していた。

それとは対照的な服の上からでもわかるほどの豊かな胸の膨らみと、
優雅な曲線を描く丸みを帯びた腰まわり。
その肉体の膨らみは完熟を少し過ぎた果実のように柔らかく緩み、
そっと衣服に支えられている。

内面も申し分なかった。
うっすらと目尻に皺ができる控えめだが美しい眼差しの笑顔。
包み込むような声に人当たりの良さそうな優しい口調。
些細なことでも人を気遣う所作にも感心した。
別邸には同僚が数名いたが、
謙虚で一生懸命な仕事ぶりの評判も上々のようだ。

ただひとつ。時折悲しげで憂うような表情を見せることがある。
笑顔の時は愛嬌のある笑い皺となる目尻の皺も、
その表情になるとひときわ深く刻まれるように見えた。
山手の奥様だった女性が全てを失い、
住み慣れた場所から遠くな慣れた地で生きている。
ふとその表情になるのも仕方がないことかもしれない。

優里香はそのすべてが聞いていたとおりの女性だった。どうしようもない程、彼女を手に入れ、彼女を汚し、そして彼女壊したくなった。私は優里香を意のままにするため、暴力的ではないが少し荒っぽい手段をとった。想定通り彼女は抗うこともできず服従した。それから今日まで、私は彼女の精神と肉体を支配し続けている。

あるとき何かの用事で優里香から他愛もないメモ書きを渡されたことがあった。内容こそ忘れたが、達筆な文字と柔らかく心地のよい文章に感心したの覚えている。それと彼女は読書が趣味で、日記などを書くのも好きだと聞いている。

そうだ、妙案を思いついた。

いま私は別邸の離れにいる。今日の午後はここで優里香の調教を行う。彼女への調教のひとつとして、その秘めた文才を活かして体験小説を書かせることにする。
初回は今日が良い。過去の調教もできる限り思い出させよう。そして小説にさせる。優里香が実際に思ったこと、感じたことを書けば、それは私にとって答え合わせにもなる。私に直接伝えたいことがあれば小説で伝えるのもよいだろう。

私は彼女の肉体を辱め、甚振り、そして精神を支配する。彼女は成熟した大人の女性として、そして大切な子の母として理性を守るべくそれに抗うが、打ち破られ、私の目の前で霰もない生き恥を晒す。いままでも、今日も、これからも。

インターホンが鳴った。
優里香が着いたようだ。

彼女は今日の自分の痴態や性癖をどのように描くのだろうか。
とても楽しみにしている。

(つづく)

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