Sunday’s Book 28 「さぁ、2020を始めよう」

★Sunday’s Book★

明日が憂鬱な日曜日に、読んだらほんの少しココロが前向きになれるような
「心の体温が上がる」本をテーマにご紹介します。

<28冊目>
タイトル「20の短編小説」
編者:小説トリッパー編集部

2020年が始まる。

オリンピックイヤー、とTVでは高らかに言われるけれど。


弾けるとわかっているバブルの到来だ。

負の遺産を抱えるのは私たちの世代だ。


終わりの始まりだ。

嵐も休止しちゃうし。(それはまた別の話か)


ついつい、そうネガティブに思ってしまう。


そんな、大きな動きのある、2020年。


2020年らしい本はないかなぁと探していて

「20の短編小説」を開いた。


「20」というテーマのもとに

伊坂幸太郎、朝井リョウ、江國香織、恩田陸、原田マハなど

大物が勢揃いし、「20」をテーマに書いた短編を競作。


20、というお題は同じなのに

良い意味で、凄い散らかり様で、

ありとあらゆる作品が集まっていることに驚愕する。


20年、二重線、二十歳、二十人目、20本、などなど。


一瞬で読み終わるものもあれば

いつまで経っても3行と進まず薄目で飛ばした作品もある。


20、の受け取り方は、無限に広がっている。


わたしじゃない誰かが呼んだら

一瞬で読めるのは別の作品なのかもしれない。


来年のわたしが読んだら

一瞬で読めるのは別の作品なのかもしれない。


書き方もそれぞれだし、読み方もそれぞれだ。


私はどうしても同じ作家を読み続けてしまうので

こういった短編集で、不意に新たに好きな作家に出会えるのも嬉しい。


今のわたしが好きだったのは

初めましての作家、木皿泉さんの

「20光年先の神様」という作品のこの一節。

たとえ、神様に届くのが二十年先でも、今の心はこんなに穏やかだ。そうか、これが祈るということか。祈りとは、今を生きるためにあるものなのか。


年初め、毎年何かを祈るとき、

自分の心のありかを知るような気がする。

いまのわたしの優先順位は、比重は、どこにあるのかを。



2020年は、今しかない。

どんなに世界が変わっても、今を生きるしかない。


今のわたしは、2020年をどう感じて、どう生きるんだろう。


さあ、2020を、始めよう。

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