Sunday’s Book 32 「知性ゼロの金持ち息子と完璧な執事」
★Sunday’s Book★
明日が憂鬱な日曜日に、読んだらほんの少しココロが前向きになれるような
「心の体温が上がる」本をテーマにご紹介します。
<32冊目>
タイトル「ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻」
作者:P.G. ウッドハウス
20世紀初頭、ロンドン。
バーティの執事ジーヴズは手際良く、巧妙に主人の危機を回避する。
驚嘆すべき男だ、ジーヴズというやつは。あらゆる分野で最高の能力の持ち主。
一方主人のバーティは、いわゆる呑気な金持ち息子。
仕事もせず、競馬やティーで日々を過ごし、
惚れやすい友人や結婚を勧めてくる叔母に頭を悩ませる。
ジーヴズによれば、バーティは
「とても明るく優しい方だが、知性はゼロ。頭脳皆無。精神的には取るに足らない−全く取るに足らん」
とのこと。笑
主人に対してひどい物言いだ。
こうして、デコボココンビが出来上がった。
出来る執事に、出来ない金持ち。
いつの間にか、金持ちが執事の言いなりになる。
人はなぜ、こういった「おかしな組み合わせ」が好きなのだろうか。
上手く行かなそうな歯車が巧妙にハマる、
ある種理屈では説明のつかない芸術のようなものが
人は本能的に好きなのかもしれない。
真面目で物静かな医者と
破天荒で型破りな探偵が事件を解決したり
のんびり屋で仕切りたがらないリーダーがグループを和ませたり。
大抵、物語の主人公たちは最初正反対で馬が合わない。
それが何故か上手く行くから、意外性があって面白いのだろう。
ジーブズの事件簿、という割りに、事件はとても呑気なもの。
だけど、絶対にバーティ1人では解決できない。
そしてジーヴズは、全くしゃしゃり出ず、スマートに、
いつの間にか危機を回避してくれている。
イギリス紳士とは、きっとジーブズのような人のことを言うのだろう。
落ち着きがありながら、知性が見え隠れするその姿が目に浮かぶよう。
ロンドンの和やかな風景に、ジーブズの紳士な姿。
きっと美しい映像が出来上がるだろう。
ぜひ映画化やドラマ化も期待したい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?