目に見えない大切なもの。23回目は「水道水」
⭐️日本の水道インフラ事情
水は人間が生きていく上でかかせないもの。日本は水道インフラが十分に整備されているため、水道水をそのまま飲むことができる世界でも珍しい国の一つ。
海外に行けば、水は購入して飲むもので大変貴重なのです。そのため、途上国では水が高価であり、代替されるものとして清涼飲料水が大量に消費されている国も。砂糖の回でもお伝えしましたが、清涼飲料水には安価で大量生産できる人工甘味料が添加されています。そのため気づかぬうちに中毒になり多量服用、肥満の原因になっている国もあるのです。
日本は水が豊富にあるにもかかわらず、安価で大量生産できる清涼飲料水の市場は拡大。私もカロリー0の炭酸飲料が大好きだったので、中毒状態であることをわからずに水分補給でよく飲んでいたものです。
⭐️水道水の水質基準がいつの間に緩和されていた!
日本では昨年に密かに水道水の水質基準等が改正されています。規制が厳しくなったものもありますが、緩くなったものもあるのです。緩くなったのは農薬類の濃度に関して。特に有機リン系の殺虫剤のホスチアゼート。果物や野菜に幅広く使用されている農薬で、有毒性は動物実験でも認められています。
イチゴが旬の季節となりましたが、イチゴからも基準値を大幅に超えたホスチアゼートが検出されています。
日本は世界でもトップクラスの農薬を使用している国。農薬の危険性を理解していれば、使用量の規制を強化すべきでした。しかし、農薬の使用量を緩和した結果、水道水に多くの農薬が混ざることで、水道数の規制を緩める結果となったのです。
農薬は少量でも神経に作用し、健康への影響はすぐには出ず何十年も先に症状として出てきます。水道水は日常的に摂取するため長期的な危険性を懸念する声も上がっていたのです。
農薬や水道水の規制緩和は目に見えないため、テレビでは報道されることなく、受け身で情報を得ている情報弱者は気付かぬうちに健康への影響を受けているのです。
⭐️私たちの体は水でできている!
私たちの身体の60〜65%が水分です。赤ちゃんは70%が水分でできています。逆に年齢を重ねると水分量が減少し、高齢者は50〜55%になります。高齢者のこまめな水分補給が推奨されるのは体内の水分量の減少が関係していたのです。
さらに細かく臓器別に水分量を見ると、腸、腎臓、肝臓、脳、筋肉は80%と多くなります。どれも重要な臓器です。
水分が不足することで生じる症状には、脱水症、脳梗塞、急性腎障害、便秘などがあり、どれも水分量が多い臓器と関連していることがわかります。
水分の重要性が理解できたところで、こまめに水分摂ればいいんでしょと思った方。
ぜひ、水分の質にもこだわってみてください。
糖尿病患者さんには、人工甘味料が添加されたカロリー0の、炭酸水やフレーバーウォーターを飲まれている方も多いです。おそらく砂糖が添加されたジュースよりはましだろうと思われて服用されています。しかし、これは中毒性が高く、飲んでも糖尿病の数値は改善されません。そして飲んでも飲んでも喉が渇き、血糖値が上昇し、糖尿病の悪化につながるのです。
日常的な水分補給を行うには水がベストなのです。
⭐️日本の素晴らしい水環境
日本は蛇口をひねればキレイな水が出てくる素晴らしい環境です。海外では、水道インフラが十分に整備されていなかったり、水道から出てくる水は茶色く濁っててそもそも飲めるような状態でなかったり。目に入ると危険なので、シャワーでも水が目に入らないよう注意しなければならなかったり。
海外で水道水を飲むと、お腹を壊すといった話をご存知の方も多いのではないでしょうか。水道水に農薬が混ざって危険であるというスタートラインにすら立てていない状況なのです。いかに日本が恵まれている環境であるか理解できるかと思います。
水道水のカルキ臭が気になる方も多いのでは。消毒する際に塩素と原水に含まれるアンモニア性窒素が反応することによって生じるクロラミンがカルキ臭の原因物質。消毒の際に使用する塩素の量はWHOのガイドラインを大幅に下回る基準値が設けられています。飲み続けたとしても塩素によって健康を害することはないとされています。逆に塩素で消毒されていない原水は感染症にかかる危険性があります。塩素による消毒は必要不可欠といえます。
⭐️水道水の塩素が貧血患者増加の要因に
ただ、この塩素はビタミンの一部を破壊してしまったり、心臓発作や脳血管障害、発がん性のあるトリハロメタンを生成する場合も。また塩素は毛髪や肌を構成するタンパク質を酸化させる原因にもなります。残留塩素問題として多くの場所で取り上げられたのはこのような理由があったからなのです。
女性で多いのが貧血。水道水と貧血が関係あるのかここで疑問に思われた方も多いのではないでしょうか。実は大いに関係しているのです。
貧血の際に摂取すべき鉄分は、ビタミンCと同時摂取することで吸収率が高くなります。アメリカでは2000年ごろから貧血の患者数が増えています。カナダやヨーロッパでも同様の報告があります。そして日本でも貧血の患者数は増加しています。
ビタミンCが多く含まれている野菜や果物にはピーマン、ブロッコリー、パプリカ、キャベツ、オレンジ、キウイ、イチゴなどがあげられます。これらの野菜や果物から農薬を洗い流す際に使用するのが、水です。この水に塩素が含まれているため、農薬をしっかり洗い流すと同時に鉄の吸収を高めるビタミンCを塩素が破壊してしまいます。そのため気づかぬうちにビタミンCの吸収率が下がっていたのです。
貧血によって生じる症状は、
疲れやすい
息切れしやすい
ぼーっとする
など。ちょっと疲れただけと放置ししまう人も多いのです。そしてその疲れが、「なまけているんでしょ?」と思われてしまう場合も。検査すると貧血の指標であるフェリチンの値が低いため、決してなまけている訳ではなかったのです。
鉄欠乏性貧血よる死者数は1999年から2018年の20年間のうちに増加しました。
一方でそれ以外の貧血による死亡数は減少しています。
⭐️鉄分不足は農作物の栄養不足も関係していた
食事を介した鉄分摂取量では、男女共に牛肉、豚肉、鶏肉、とうもろこし、果物で鉄分が減少しており、シリアルなどの栄養補助食品では増えていました。
食事で補えていない鉄分量を食品会社は補助食品として補うことで儲けようとする背景が伺えます。
米国の農産物では家畜の肥料を含め、鉄分含有量が減少。それは狭い面積でも収穫量を増やす方法が関係しているのではと言われています。ここでも効率重視の背景が伺えます。
日本でも効率重視により、農作物の鉄分の含有量も少なくなっています。また残留塩素がビタミンを破壊し、鉄の吸収を妨げる原因に。そして以前の日本では鉄鍋や鉄のフライパンで調理器具から気づかぬうちに鉄分を吸収していたのですが、現在はほとんどの家庭で扱いやすく軽い、テフロンのフライパンになってしまいました。鉄のフライパンは重く、錆びやすく、扱いにくい。忙しい現代人にはテフロンのフライパンが最適だったのですね。
私も貧血には鉄のフライパンがいいと知っていても、重たいし、お手入れが大変なのでいろいろ調べたものの買わずじまい😅今も比較的扱いやすい軽いお鍋を使用しています。
⭐️貧血の解決策に日本の伝統工芸が!
そんな方におすすめなのが鉄玉。お鍋ややかんに入れて手軽に鉄分補給ができるもの。小さいので、筋力が低下している女性でも扱いやすいのでは。
この鉄玉、日本の伝統工芸品である南部鉄器で沸かしたお湯に鉄分が多く含まれていることから開発されました。
途上国では鉄分不足が深刻な問題になっています。特にカンボジアでは人口の半分が鉄分不足であると言われています。カンボジアでは深刻な鉄分不足や貧血を解消するために、鉄玉が活躍しました。お湯を沸かす際に鉄玉を10分入れておくことで1日の摂取量の75%を補うことができるとされています。
鉄分不足よる症状改善効果ですが、すぐに鉄分補給を行っても即効性はありません。鉄が体内にたまるまでにはかなり時間がかかり、よくならないといってすぐにやめてしまう患者さんも多数みてきました。
⭐️貧血治療の継続の重要性
体内の鉄の減少は貯蔵鉄であるフェリチンが減少することで起こります。そのためフェリチンが血液検査の数値の指標となるのです。フェリチンが減少すると血清鉄も減少していき、鉄を材料にして作られるヘモグロビンが作れなくなるため貧血がおこります。
婦人科で貧血だと鉄剤が処方されますが、即効性がない理由としては、鉄の補給は減少とは逆の順序で補われるため、貧血の根本原因である貯蔵鉄が満たされるのは最後なのです。貧血の症状が改善するまでには1〜2ヶ月なのですが、根本原因である貯蔵鉄が満たされるまでには4〜5か月ほどかかると言われています。ですから長期的に飲まないと効果が出ないのです。
しかし貯蔵鉄が満たされたところで、食事から鉄の補給を怠れば、また同じ減少のサイクルに。
⭐️鉄玉は世界を救う?!
カンボジアでは9ヶ月の間、鉄玉を料理に入れることで、貧血症状の改善が見られ、貧血で来院する患者数が半分まで減少しました。鉄分不足の解消によって学校を休む子供たちが減り仕事の生産性が上がるなど、国の発展に関与するまでになっています。
日本での鉄欠乏性貧血の原因は2015年データでは女性は子宮筋腫や子宮内膜症といった原因が明らかなもので3割を占めますが、同時に原因不明が全体の7割を占めています。男性の場合は消化器系の出血が6割を占め、この中には胃がんや大腸癌も含まれています。原因不明は3割程度。したがって男性の貧血の場合は必ず原因を調べるようにしましょう!
鉄不足による貧血は、明らかに目で見てわかるものではなく、気づかれにくいものなのです。なんだか調子が悪い=怠け者というレッテルが日本では多く見受けられ、途上国では放置される場合も。それが貧困問題や経済発展に影響をもたらしています。
日本などの先進国でも近年、鉄分不足による患者数は増加しています。それは効率性を重視した、農薬の使用と栄養価が減少した農作物が原因の一つですし、水道水に含まれる残留農薬や残留塩素が、鉄不足や栄養不足に関与しています。
鉄分不足は目に見えない、健康を害する原因になっている場合があるのです。
⭐️健康的で美味しい水を飲むために
水の話に戻りましょう。日本の水道水の問題点は1980年代にできた給水管も関与してきます。その年代は鉛でできた吸水管が多く、錆止め防止剤として使われていたMDA(メチレンジアニリン)という発癌物質が水道水に溶け出している場合もあります。その対応策として、浄水器を設置することで、不純物を取り除き、農薬を薄めて体への害を最小限に抑える効果があります。浄水器はカルキ臭を防ぎ、飲みやすい飲み水に変換してくれます。
先日、旅先(鳥取県)で出会ったタクシーの運転手さん。東京の人混みが苦手でさまざまな地方に住まわれたことがあるとのこと。水の研究をしていて、住む場所を決めるときは美味しい水があるところだと教えてくださいました。ちなみに、鳥取は魚介も肉も美味しいとのこと。私が行った島は牛が島内の広大な敷地に放し飼いで放牧されており、気持ちよさそうに過ごしていたのが印象的でした。きっとこのような環境で育てられた牛はすごく美味しいお肉になるんだろうなと想像してしまいました。笑 漁港が近いため生の牡蠣を食しました。牡蠣には多くの鉄分やミネラルが含まれています。新鮮な牡蠣のあまりの美味しさに感動!!食事がいかに重要であるのかを再認識させられました。
食品の栄養素は調理法によって、あなたの記憶力や生活の質を変えてくれるのをご存知ですか?
次回の目に見えない大切なものは「調理法」です。
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