いや、このビデオにはウクライナ兵の「戦わずして諦める」姿は映っていない
France 24 The Observers 2023年7月31日の記事の翻訳です。
親ロシア派のソーシャルメディア・アカウントが、ウクライナ兵がロシア軍に集団降伏する様子を映したというビデオを広く共有している。しかし、この動画は実際には、2023年5月にロシアの国営準軍事組織「ワグナー・グループ」とウクライナ軍の間で行われた捕虜交換の様子を映したものだ。
1分で読めるまとめ
親ロシア派のアカウントは、ウクライナ兵がロシアに集団降伏している様子を撮影した動画が流行していると偽っている。
実際には、2023年5月にウクライナがロシア連邦が資金提供する準軍事組織「ワグナー・グループ」と捕虜を交換している様子を映したものだ。
ファクトチェックの詳細
「ウクライナ兵はゼレンスキーのために死にたくない。彼らは戦わずに降伏する!」というツイートが7月24日に公開され、動画が掲載された。多くのアカウントが、ドローンの映像はウクライナ軍がロシア軍に降伏していることを示していると同様の主張をしている。
映像には、少なくとも11台の白旗を掲げた戦車が道路に停車している様子が映っている。また、道路には2つのグループがいて、それぞれ制服を着た数十人の男性で構成されている。一方のグループは1台の車両に向かい、もう一方は別の車両に向かっている。このビデオは135,000回以上再生されている。
英語のキャプションと共にツイートされたこの映像、798,000回以上の再生回数を記録した。この映像はフェイスブックでもフランス語と英語のキャプション付きで拡散されている。
昨年5月に行われた捕虜交換の映像
映像には、2つの異なるグループの男達が反対方向に歩いている。戦車には白い旗が付いている。これは。これらは、通常中立地帯を表す。この映像が実際に捕虜交換を映している可能性を示す手がかりとなる。
実際、YouTubeで「ウクライナ」、「捕虜交換」、「ドローン」というキーワードで検索したところ、英国メディア『テレグラフ』の「ワグナーがウクライナと捕虜交換」という記事がヒットした。
別のドローンによって別のアングルで撮影されたとはいえ、拡散されたビデオで紹介されたシーンはテレグラフのビデオの0'34“に登場する。白旗を掲げた戦車は同じ位置にあり、同じ2組の男達が反対側の車両に向かう様子も確認できる。
同じ映像が5月25日、ワグナーのリクルート支部の公式チャンネルを名乗るテレグラムで共有された。この動画には、捕虜交換の追加画像も掲載されている。交換が行われた正確な場所は不明。
要約すると、この動画は2023年5月25日にウクライナで行われたワグナー・グループとウクライナ軍との捕虜交換であり、ウクライナ兵のロシア軍への「降伏」ではない。
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