【13日目の朝】都内のお家から
2週間、時の止まっていた東京の我が家に帰ってきた。扉を開けたら引っ越してきたばかりの頃の、アパートのちょっと埃っぽい香りがして、帰ってきたことを改めて実感した。
窓を開けて、軽くご飯を食べる。シャワーを浴びて、テレビをつける。ちょっと一息ついたら部屋も私の気配に気づいたみたい。帰ってきてるよ、ただいま。
全ての荷物は取り敢えず部屋の隅に置いて、懐かしのお布団で眠り込む。そしてちゃっかり朝に目覚めた。私の身体は時差ボケしないのかしら。
ポルトガルでの暮らしは本当に楽しかった。
乾いた青い空に青いタイル。パステルカラーの壁にお揃いの茶色い屋根。硬いパンと苦いコーヒー。突き刺すような太陽の光が金色のビールを貫いて、ロックなおじさんの口に吸い込まれていく!そして派手柄ワンピースのおばあちゃんの吐くタバコの煙と珈琲の香りの安心感。山のように積まれたやわらかいフルーツたち。
たくさんの人にお世話になった、夢見たいな小さな暮らしを思い出として心に抱えて、生きていくためのいつもの暮らしへ戻っていく。
よし!私がこの旅をするために、助けてくれたこちらのみんなにあげるお土産の準備をしよう。
世界はとっても広くて壮大だったけど、どこへ行っても暮らしは小さく、できることも少なかった。日焼けで肌が被れたり、お腹を壊したり、道に迷ったり、言いたい事が言えなくて困ったりしたけど、みんなのお陰様でなんとかなった。
ポルトガルでの暮らしのことをまとめたこのマガジンもこれにておしまい。
一生の宝物として記録しました。
読んでくださって、ありがとうございました。