【短編】迷信
”夜,爪を切ると,親の死に目に会えない”
子どものころ,母方のおじいさんに聞いた話.
父方の祖父は,私が生まれてすぐ,祖母は私が幼稚園に上がる前に亡くなっている.
私が物心ついた時から父は,夜,爪を切っていた.
私の爪も夜に切ってくれた.
それは,お風呂に入った後に爪を切ると,柔らかくて,切りやすいからだと言っていた.
ずいぶん後になって,父が親の死に目に会えなかったと聞いて,「夜,爪を切っていたせいだ」と思った.
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