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建築とアジリティ

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建築とは相性が悪いが、IT系スタートアップやソフトウェア開発界隈では頻出単語である、アジャイル。 この考え方が浸透しつつある背景のひとつには、世の中全体が「強者生存」から「適者…
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建築とアジリティ vol.4 ERRC戦略をあてはめてみたら、アジャイル建築にいきついた件

建築とアジリティ vol.4 ERRC戦略をあてはめてみたら、アジャイル建築にいきついた件

最近、ERRC戦略という言葉を知った。

W・チャン・キムとレネ・モボルニュの共著『ブルー・オーシャン戦略』という本で紹介されている概念である。ERRCとは、Eliminate(排除)、Reduce(削減)、Raise(引き上げ)、Create(創造)の頭文字を取ったもので、既存の常識や価値を再構築する際に有効なフレームワークとして注目されている。

要するに、競争の激しい市場、いわゆるレッドオー

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建築とアジリティ vol.1 『アジャイル設計』の可能性を探る。

建築とアジリティ vol.1 『アジャイル設計』の可能性を探る。

『アジャイル』という言葉をご存知だろうか。

建築の世界ではほとんど馴染みのないかもしれないが、IT系スタートアップやソフトウェア開発界隈では頻出単語である。

『アジャイル(agile)』という言葉自体は、「素早い」「機敏な」「柔軟性がある」などと直訳される。『アジリティ(agility)』は、その形容詞形。

『アジャイル開発』とはすなわち、小さな単位で実装とテストを繰り返し、素早くかつ確実に

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建築とアジリティ vol.2 『サグラダファミリア』はアジャイル建築か。

建築とアジリティ vol.2 『サグラダファミリア』はアジャイル建築か。

前回の建築とアジリティ vol.1では、ソフトウェア業界では当たり前の概念となりつつある『アジャイル』を建築の世界にも応用することで、設計業務の在り方がガラッと変わると同時に、建築そのものの幅もさらに広がるのではないか、と述べた。

今回は、アジャイル原則を建築に取り入れることで体系化される『アジャイル設計』の可能性をさらに考察し、ひとつのスキームとして構築していく上でも、根源にあるアジャイル開発

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建築とアジリティ vol.3 『アジャイル設計』を体系化する。

建築とアジリティ vol.3 『アジャイル設計』を体系化する。

前回の建築とアジリティ vol.2では、アジャイル開発のノウハウの中の、建築設計プロジェクトに応用できそうな手法や考え方を取り上げた。いよいよ今回は、それらのアジャイル原則を設計プロジェクトに具体的に落とし込むため土台について書いていきたい。

◆ 『アジャイル設計』の現状設計業務のフローは、実はアジャイル的?

具体的な土台に入る前にまず、建築設計プロジェクトの現状について考えてみたい。果たして

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