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経験を元に、こだわり抜く
前回のつづき。
つながり∞食堂をはじめる
対象は、不登校や行きしぶり、ひきこもり、フリースクールなどに通う子、そのご家族や経験者、その他スタッフからの紹介としている。
特徴は、4つ。
「たべる」・・・他の子ども食堂と同じく低価格で食事ができること。
「まかない」・・・調理などのお手伝いをしたら一食無料で食べられること。
「おごる」・・・食事はいらないけどお手伝いだけしたいという人は、その一食分を次に来た子どもにご馳走することができること。
「てつだう」・・・社会人経験のない高校生や、引きこもりの方の就労支援として、10分からお手伝い可能なこと。
就労支援は、長岡地域若者サポートステーションと連携しています。
※若者サポートステーションとは、働くことに悩みを抱えている15~49歳までの人を対象に、就労に向けた支援を行う機関。厚生労働省の委託事業。
子ども食堂の「子どもが一人で安心して来れる場所」というキーワード。
私たち運営側が安心できる場所を考える時に、まず「安心できない場所」を考える必要がある。
不登校や引きこもりの子が安心できない場所といえば、
「学校に行っている子が来る場所」
「学校に行かないことを否定される場所」「質問をしてくる大人がいる場所」
(必ずしも質問することが悪いわけではない)
結局、誰でも来ていい場所というのは、誰かが来れない場所である。
こだわった部分
◾️対等な関係をつくること
これは子ども食堂に限らず、常に考えていること。
つながり∞食堂でこだわっている部分は、「子どもが食べさせてもらっている」という環境をつくらないこと。
大人も子どもも対等な関係で、保護される部分はきちんと守られる。この環境をつくるために、まず子どもにご馳走する「おごる」仕組みとして、シェアチケットを発行することにした。
◾️シェアチケットの流れ
1. お手伝いをする(子ども・大人)
2. 食事が必要のない人にシェアチケットを発行する
3. シェアする人へ、チケットにメッセージを書く
4. 事務局で預かり、ファイリングし、次回開催時に持参する
5. お手伝いはせず食べにだけ来た人(子ども)に、チケットを渡す
6. その子が無料で食べられる
お腹の空いている子に食べさせてあげたい、、!という大人の想いはとても有り難いこと。ただ、その想いをそのまま子どもたちに見せてしまうと、「食べさせてもらっている」ように思わせてしまう。
よく、子ども食堂を運営している飲食店などで、「子どもたちが無料で食べられるチケット」を大人に販売しているのを見かける。それはそれで素敵だし、大人に奢ってもらうの大歓迎!な子どもがいればマッチする仕組みだと思う。けど、つながり∞食堂のこだわりは「食べさせてもらっている」と思わせないこと。
シェアチケットは、お手伝いだけしたい大人(働きたい大人)と、食べたい子どもが、「調理・食事」の役割をシェアするという仕組み。
「お手伝いしたら食事がついてきちゃうんだけど、大勢で食べるの苦手だから、私の分食べてもらえるかな?」というチケット。これならお互いが協力関係であり、支援が子どもから見えにくい。偽善ではなく、その大人も本当に困っているから成立する。
◾️働く準備ができること
じゆうがっこうの"働く"にも繋がっていること。
今後つながり∞食堂が一つの事業となり、長岡市の一つの働き口となれば、インターンシップや職場体験などを提供できる。
現段階では、学校に通っていなかったり無業の人の働く一歩に繋がればと思い、サポステに連携をお願いした。
この連携する上でも、働きたい人と対等な関係を築きたいと考えている。
10分だけでも、野菜の皮を剥いたりお皿を洗ってもらったり、掃除をしてもらえたらとても助かる。お互いが対等な、協力関係ということはブレない。
◾️共感しあえること
もうひとつ補足すると、つながり∞食堂のスタッフはほとんどの人が不登校や引きこもりの保護者である。子どもとの関わり方や、将来に不安を抱く方も多い。
サポステからの紹介で、不登校や引きこもり経験者が来てくれると、保護者の学びにもなるだろうと推測している。自分の子ども以外で引きこもりの方と関わることは、一般的にはあまりないシチュエーションなので。
そして、子どもの不登校がきっかけで無業になった方もいると思うので、保護者同士の繋がりが増えたらいいなとも思っている。
今後の向き合い方
子どもをお腹いっぱい食べさせるのは大人の役割であって、それは自分の子どもだけに限らない。どんな家庭で育ってもつながり∞食堂に来れるよう、一つ一つの課題に向き合っていきたい。
私が食の事業に取り組むことは、子どもの頃の自分を助けるためでもある。ペルソナはいつだって”子どもの頃の自分”なのだ。