毒舌寿司
友人と回転寿司に昼ご飯を食べに来た。
「生魚ダメなんだよね」
席に座った途端に友人が吐き捨てるように言った。
「回転寿司が良いって言ったのはお前だろ?」「生魚以外の寿司が食べたかったんだよ」
そう言ってカッパ巻きを取った。
「好きなんだよ。カッパ巻き」
「いいけどよ」
タッチパネルを操作して好きなネタを探す。「何だこれ」
「ん?」
二皿目のカッパ巻きに伸ばしかけた手を引っ込めて、タッチパネルをのぞき込む。
「新メニュー『ザ•毒舌』だって。お前食べてみろよ」
止める暇も無く、友人は注文してしまった。「ほら、来たぞ」
軍艦の上に黒いゼリー状のものがこんもりと乗っている。
「煮こごり的なやつか?」
口に入れた途端、友人に対する苦い感情が溢れてきて口を押さえた。
「泣くほど美味いのな」
顔を歪めて笑う友人に叫ぶ。
「 附子!」
※ 小説内での附子とは毒の事です。
有名な狂言「附子」が有ります。