射谷友里(イテヤユリ)

ショートショートや短編を書いています。 青春こじらせ系(秋田柴子さん命名)が得意です! 宜しくお願いします。

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  • ショートショート集

    noteで発表したショートショートをまとめていきます

  • 坊ちゃん文学賞 応募作品

    坊ちゃん文学賞に応募した作品です。 少し不思議なショートショートのつもりで書きました。 少し歪んだ少女の恋の話です。

  • TO-BE小説工房 応募作品

    一年間、応募していた課題作品をまとめていきます。

  • noteショートショート杯 応募作品

    少し不思議なショートショート作品集です。

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【#創作大賞2024#ファンタジー小説部門】僕は超能力者になりたい

【あらすじ】  この世界で僕だけ超能力がない。平凡な両親ですら、超怪力だったり、壊れた物を適当に修復するくらいの力を持っているのに——。高校のクラスメイト達は僕の事を『新人類』と呼び、何かと無駄に高度な技で僕をからかってくる。僕は学校へ行きたくなくて、わざと遅刻をしていったら、甘いクリームがべちゃりとひたいに落ちて来た。最悪だけど、いつも通りの一日の始まりが、誰かの悪意にまみれていたなんて——。  何かが床に落ちた音と母さんのまぬけな叫び声で目が覚めた。母さんがまた何かを壊

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【#創作大賞2024#ファンタジー小説部門】僕は超能力者になりたい

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    16本

記事

    自宅のプランターで栽培していたキュウリがついに収穫の日を迎える🥒 ドヤ顔の娘、さあ食べるがいい!笑

    自宅のプランターで栽培していたキュウリがついに収穫の日を迎える🥒 ドヤ顔の娘、さあ食べるがいい!笑

    罪と罰【#シロクマ文芸部*懐かしい】

    「懐かしい写真が出てきたんです」  探偵事務所の応接室で、私は一枚の写真を年老いたかつての名探偵に差し出した。 「これは……。二十年前の武笠邸にいたメンバーですね。武笠一家とそのご友人家族、それから使用人方でしたね」 「そうです。香菜お嬢様が使用人達も家族同然なのだからと仰って下さって」 「向坂さんは写っていない様ですがーーそういえば、この日は一日、カメラマンでしたね」  探偵の写真を見つめる目はかつての猛禽類の様に鋭くはなかった。 「そうです。十歳になるお嬢様のお誕生日でし

    罪と罰【#シロクマ文芸部*懐かしい】

    レモンの種【#シロクマ文芸部*レモンから】

     レモンからシルバーの指輪を取り出したマジシャンが、「あなたの大事なものはこれですか?」と言った。  受け取った指輪は、あの日についた傷が綺麗に無くなっていた。 「ーーそうです。私の結婚指輪です」  そう答えた瞬間、周りから盛大な拍手が起こった。誰かが、もはや超能力だと言った。 「マジックなんですよね?」 「もちろん、マジックにはタネがあります」  マジシャンはあやしげに微笑んだ。 「……夫が見つかったんですか?」 「ええ」  和解をするチャンスはいくらでもあったのに、意固地

    レモンの種【#シロクマ文芸部*レモンから】

    彼女は星を見ない【#シロクマ文芸部*流れ星】

     流れ星が光っている間に願い事を言うのは不可能だと言って、彼女は空を見ようとしない。星空ツアーの案内人が星座にまつわる神話を情感たっぷりに話すのを、家族連れやカップル達が肩を並べて楽しげに耳を傾けている。それなのに彼女ときたらホットコーヒーを渋い顔ですすっていた。 「聞かないの? 星空ツアーいいねって言ってたよね?」  彼女は興味無さそうに遠くを見つめて、 「おでん食べたい」と言った。  せっかく、高原にある星の見えるホテルを予約したのにそんなことを言う。もしかしたら、僕がプ

    彼女は星を見ない【#シロクマ文芸部*流れ星】

    ひと夏の人間離れ【#毎週ショートショートnote】

     廃病院でお化け役として肝試しに参加することになった。クラスの目立つやつが女子と仲良くしたいがために、数名の男子に声をかけたのだ。 「千円分のギフトカードやるから。ちょっと驚かすだけでいいからさ」  返事を待たずに女子達と盛り上がっていた。悔しいがアルバイト禁止の高校では報酬が千円でも有難い。それに、参加者の中に自分が好きな女子もいるのだ。驚かすと見せかけて仲が深まるのを邪魔してやりたい。  俺達は病院内に散らばって隠れた。 「花岡さんにあんなにくっつきやがって……見てろ」

    ひと夏の人間離れ【#毎週ショートショートnote】

    月をひっくり返す【#シロクマ文芸部*今朝の月】

     今朝の月はラーメン丼をひっくり返したような形をしていた。深夜に食べた豚骨ラーメンを思い出すと胃も胸もきゅうと痛んだ。ラーメンの汁を全部飲んでしまったのがいけなかった。なんだか、髪の毛もまとまらずバサバサだ。本来ならサラ艶ヘアを手に入れていたはずなのにと、ため息をつきながら最寄りの駅まで歩いて行く。            *  後輩が深刻な顔で相談したいことがあるというから、ヘアサロンの予約も取りやめて飲みに連れて行ったのに、話の内容のほとんどが恋人への愚痴というかほぼ惚

    月をひっくり返す【#シロクマ文芸部*今朝の月】

    二人目はサイダー【#炭酸が好き】

     私がサイダー好きになることは母のお腹の中にいた時から決まっていたらしい。  母は妊娠中、どうしても冷たいサイダーが飲みたくて飲みたくて仕方がなかったという。姉の時はひたすらに牛乳を欲していたというから、つくづく人間の身体は不思議なものだ。  姉は小さい時から牛乳が好きだったが、私は苦手な上に飲むとお腹が痛くなってしまい、中学まで、給食で出た牛乳をまともに飲み切った記憶はない。  母は私がお腹にいる時だって牛乳は飲んでいたと弁明していたが、それ以上に扇風機の風にあたりながら飲

    二人目はサイダー【#炭酸が好き】

    花火と手品師【#シロクマ文芸部*花火と手】

     花火と手品は似ている。仕掛けなんか知らなくても、その一瞬の技と煌めきに目を奪われ、魅了させられるんだと、もっともらしく彼は言った。繊細ぶる癖がある彼は突然に吟遊詩人になるんだと同棲していたマンションを出て行った。心変わりを綺麗事にした彼をなぜか憎めなかったけど、花火も手品もちょっと嫌いになった。  遠くでドーンと花火が打ち上がった。マンションから、かろうじて花火が見える。     「あー、半分しか見えない!」 「ほら、次のは大きいから見えるよ」  近所の子供達が一喜一憂す

    花火と手品師【#シロクマ文芸部*花火と手】

    大きくなあれ

    #夏の1コマ

    羽化を待つ

    #夏の1コマ

    非情怪談【#毎週ショートショートnote*非情怪談】

    デジタル大辞泉より 非情 2, 仏語。草木土石など、感情のないもの。 どんなに立派な屋敷でも人が住まなくなったら荒れ果て、邪な輩が集まるようになる。 「蜘蛛の巣だらけだな」  小林が伸び放題で元の形がすっかり分からなくなった植栽を蹴る。 「石灯籠とかねえかな。年代物なら金になるらしい」  佐田が目をギラリと光らせた。 「西洋風の庭だぞ? うわあっ」 「小林? 蛇でも出たか?」  苔むした妖精のオブジェと目が合う。 「流石に売れねえか」  背後に気配を感じたが、荒れた植栽がある

    非情怪談【#毎週ショートショートnote*非情怪談】

    風鈴とコケコッコー【#シロクマ文芸部*風鈴と】

     風鈴とタチアオイが描かれた入浴剤をサラサラとお風呂に溶かした。パッケージの夏空と同じ青色がゆっくりと湯に広がっていく。湯船はまるで映画館のスクリーンみたいに一つの風景を映し出した。    通り雨が庭の草花を濡らし、野良猫が慌てて縁の下へと入って行った。  私はこの景色を知っている。小さい頃、妹が産まれる時に、ほんの少しだけ預けられた祖父母の家だ。   テーブルには茹でたとうもろこしと、キンキンに冷えた濃い麦茶、仏壇から漂う線香の香り、それから、隣家のピアノの練習に合わせて鳴

    風鈴とコケコッコー【#シロクマ文芸部*風鈴と】