ボイトレ体験記(その1)
「〇〇の手習い」という言葉があるが、最近は「人間いくつになってもチャレンジすべき!」というモードになっている私。2月くらいからClubhouse(音声型SNS。ラジオのようなもの)デビューしたのをきっかけにいろいろなRoom(番組のこと)を覗くようになり、あるご縁でつながったのがナレーターの下間都代子さん。正確に言うと私が勝手にアプローチし、「つなげた」のだが・・・。
きっかけ
私は2月からClubhouseで米国発の海外生活事情などを発信するルーム(番組)の発信を始めた。
その後いくつかルームでモデレーター(司会者)を経験する中でせっかく人前で話すなら、「これを機にボイトレを受けてみたい!」と思うようになった。私は声が小さいというか、「通りにくい」ことが永年のコンプレックスでもあった。特にうるさい場所で話す時はいつも聞き取ってもらえず苦労する。
そんな中、Clubhouseで下間都代子さん(以下トヨコさんとする)の主宰する「耳で読むビジネス書(通称耳ビジ)」で赤羽雄二さんの本を紹介する週があり、それを聴いたことがトヨコさんを知ったきっかけであった。
たまたまその週に他のルームでもトヨコさんとご一緒する機会があり、これも何かの縁か?と勝手にひらめき、勇気を出してClubhouseに紙飛行機(メールのこと)を送ってみた。以前だったら、現役で活躍されている、しかも面識のない方にコンタクトするなんてことはなかったと思うのだが、いくつかのルームで拝見(拝聴)したトヨコさんに早くも魅力と親しみを感じていたことも大きかった。
トヨコさん
トヨコさんは前述の「耳ビジ」の主宰者であり、メインモデレーター。関西ではあの阪急電車(車内)と京阪電車(ホーム)のナレーションをされており、在住の方ならきっと一度は聞いたことがあるはずのお声の持ち主。アナウンサー、ナレーターとしての魅力的なアルトボイスもさることながら、お茶目なキャラ満載のトークもとっても面白く、リスナーの私たちはいつもトヨコさんのトークの虜になっている。
ちょうどコンタクトしたタイミングで「レッスンは可能です。でも、今度赤羽雄二さん(「ゼロ秒思考」などの著者)がClubhouseで公開ボイトレをするから、それをまずやってみて下さい。それで十分かもしれませんよ。」とのこと。仰せの通り2回の放送を聞いたが、なかなかハードな内容。自分にできるかな…と不安もあったが、当時はリプレイも聴けない環境だったので、もっと練習がしたくなった。そこで勢いで全5回の個人レッスンを申し込んだ。オンラインだったら場所は関係ないし(私は現在NY在住)。
呼吸~息が吸えない、吐けない!
そんな経緯もあり、とにかく大阪とNYを繋ぎ、ZOOMでのレッスンをやっていただくことになった。レッスンはまず呼吸法から。もともと呼吸の浅い私はまず息を十分に吸ったり吐いたりすることが「できない」。これは日本にいた時にわかっていたことだが、私は昔から上半身というか、肩から上の力が入ってしまいがちである。それが深い呼吸を妨げてしまっているようなのだ。逆にヨガをやっている時など、体の力が抜けた体勢の時はもう少し深い呼吸ができる。原因はわかっているのだが、長年の癖なのか、どうしても身体の力を抜くことが難しく、息が続かない・・・。ちなみに、人間ドックでよくやる「肺活量検査」もとっても苦手。ちゃんと息が吐ける気がしなくて、あの検査はいつも諦めモードであった。
私がやった呼吸練習のやり方だが、まず最初に息を全部吐き切ってから(口)、(できれば)鼻で吸いきる。その後に全部吐く。発声の時も同じだが、その時は息を吸いきった段階で数秒息を止めてから発声していた。
呼吸に関しては、5回のレッスンを受けた後もまだ課題が残るが、以下のことで体の緊張が取れ、少し改善した。
・もう吸いきれないと思っても「あともう一歩」吸ってみる。この時は口からでもOK。上半身の力を抜いたり角度を変えることで、もっと呼吸が入ることがあるので、色々試してみると良い。吸った息は胸に入って肋骨を通り、だんだんとお腹に降りてくるイメージ。
・手を後ろに持っていき、肩甲骨を寄せるようにする(肩を開く)。
・鎖骨、胸鎖乳突筋、肋骨などをマッサージし、呼吸筋をほぐす(これはYoutubeなどで動画を見て)。
・上半身を一旦前にダラーンと倒してから起きる(余分な力が良い感じで抜ける)。⇒これはヨガのダウンドックのポーズをしている時に呼吸がしやすいのも同じ原理だと思う。
腹式呼吸
次はいよいよ発声。元来私は腹式呼吸が身についていないので、発声が安定しない、長続きしない。腹式呼吸を身体に憶えさえせるために、足を床から少し上げて、腹筋がプルプルいる状態で発声するのがポイントとのこと。ちなみに、この足上げ発声は赤羽さんもClubhouseの公開レッスンでやられていたが、私はそれを勘違いして、足は上げたものの、その足をベッドの上に載せていたのだ。この勘違いはトヨコさんにも笑われた。
一番腑に落ちたのは「声を背中に響かせるように」発声する、ということ。人に呼び掛ける時など、周りが騒々しい時ほど特に、つい声を「前に」向けて発声しがちだが、そうではなくて「背中に」響くように発声することで、自然と腹式呼吸になるのだ。そのことが身体で理解できた時、何となくだが「お腹から声を出す」ということができ始めたように思う。レッスンを重ねるうちに、少しずつだが呼吸で吸える量、吐く量が増えた気がする。また、発声する時の長さ、安定感が増していった。
声の高低
トヨコさんのレッスンを受けて特徴的だと思ったのは声の高さや大きさを変えて発声する練習。最初に「あー」と発声した後、次は一段大きい音、次は一段高い音、一段低い音などとアレンジして声を出していく。大きな声で色々な音を発声していると、「これは自分の音域に近いな」とか「意外にこのくらいの低い音が安定感があるな」など新たな発見がある。
トヨコさん曰く、声を出し続けていると、(苦しくても)その声が安定する「瞬間」があるのだそうだ。そこが恐らく「お腹から声が出ている」状況なので、そこのゾーンに入るまで声を出し続けることが大切みたいだ。そして、慣れると最初からその声が出せる(腹式呼吸ができる)ということかと思う。今まで私が発声していた声、歌っていた声はほぼ喉からだけ出ていた声だから、今後腹式呼吸の練習を進めたら、自分の声、歌声も変わってくるかもしれない、と思うと面白い(まだ自分ではわからないが)。
そもそもトヨコさんの声の魅力は女性にしては比較的低音のあのアルトボイスなのだが、トヨコさんいわく、普通に喉から発声するだけだとあの「厚み」は出ないらしい。腹式により「本来の声に低音の厚みがついてくる」ことであの声になるとのことで、そう聞いて何とも納得。トヨコさんやプロのアナウンサーなど声を生業とする人たちには「息をするように」身についているという腹式呼吸だが、そう聞くとClubhouseで聴くトヨコさんの声がますます神がかって(ダイヤモンドの輝きを増して)聞こえてくる!
(その2に続く)