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友人から買ったひじきからはじまった、東京での物々交換 #小さなくにづくり
先月10日間ほど滞在した、山口県祝島。
わたしが行ったときにも、島の周りを帯のようにぐるっと囲む、ひじきを目にしました。「いつ解禁かな」という会話や、ひじきを炊き上げる釜の準備、など、島全体がひじき漁に向けて身支度する。
わたしの友達は、祝島で漁師をしています。
東京に帰った数日後から、ひじき漁は解禁。それに伴って、潮の満ち引きに合わせながら、旬のひじきをとりにいく生活に変わっていました。
みなさんは、ひじき、を知っていますか?
わたしは、全然知らなかったんです。
まず、普段食べているひじきは「乾燥ひじき」であること。
ひじきは鉄分豊富というけれど、それは鉄釜で炊き上げていく過程で釜の鉄分がつくからであること。
漁が解禁された今の時期(2月の1ヶ月だけ!)は、干していない「釜あげひじき」が食べられること。
届くと、こんなメッセージと食べ方が書かれた紙が入っていました。
”2月から3月までしか食べられない、旬の祝島の恵みをお届けできて幸いです。どうぞお楽しみください”
袋をあけると、ふわぁっと香る、潮のにおい。
食べると、それは「海の味」と友人が表現したことに納得できます。
ひじきって、こんな味なんだ、と驚きました。
届いたひじきは、3日以内は加熱せずそのままで食べられます。
冷蔵1週間、冷凍3ヶ月ほど保存もできます。
サラダ、白和え、パスタ、チヂミやお好み焼きなど、いろんな食べ方ができると書いています。
”旬の祝島の恵みをお届けできて幸いです”
そんなこと友達に言ってもらったら、みんなにも分けたい。
しかし、時間がない。旬なうちに渡したいと思うと、1週間しかない。
ということで、ひじきを持って、友人に渡しにいくようになりました。
祝島キッチン友人宅へ
祝島の大豆で味噌をつくり、そのあと、みんなで祝島から送ってもらった食材はまち、たこ、もずく、ひじきで料理をして食べる会をしました。野菜は企画した友人のつながりの農家さんから買ったもの。
ひじきのサラダ、水洗いしない釜揚げひじき、水洗いしてレモンをかけた釜揚げひじき、たことひじきのペペロンチーノ、ひじき炊き込みごはん。フルコース!
味噌ができるのは、半年後。それぞれのお家で発酵させます。
次は、味噌を持ち寄って、また料理をするのも楽しそう、と話しました。
友人宅へ
以前、祝島から届いたもずくを持って、持ちより一品をしたときに、「こんなシャキシャキなもずく食べたことない」と感動してくれた彼女。
今回はひじきを持っていったら、手作りスープと近所の美味しい天然酵母パンをごちそうしてくれました。
自炊料理家の山口祐加ちゃんの家に行ったときには、お手製の料理でランチをさせてもらいました。翌日の一汁一菜になったと報告してくれました。
お世話になった方とその職場の方へ
事務所に行かせてもらったときにお届けしたら、「長野に行ってきたのでお土産です」と干し柿と炊き込みごはんの素をいただきました。
お世話になったカメラマンさんへ
ランチでひじきの話をしていたらふいに盛り上がり、「明日、お渡しさせてもらえませんか?」とお願いさせてもらったんです。翌日、渋谷のど真ん中で、有機の切り干し大根と交換させてもらいました。
ひじきを届けようと思ったら、「じゃあ、わたしもなにか・・・」と言って、物々交換がはじまって、結果的にたくさんのものをもらっていました。
お金ではなく、友人宅でごちそうになった手料理だったり、近所の美味しいパンだったり、旅行先で買ったお土産のおすそ分けだったり、渋谷のど真ん中で、知り合いが作った有機の切り干し大根とひじきを交換したり。
東京でも、こんな生活があるんですね。
わたしにたくさんのものを届けてくれたひじきは、友人が仲間と採ってくれたから。ひじきが採れるのは、その先には海があるから。
この1週間の物々交換の旅ができたのは、海の恵みのおかげです。
最後に、漁師の友達がくれたメッセージを紹介します。
天然という言葉は不思議なもので、養殖技術が確立されたことによって、逆説的に生まれたものなんだろうと思います。何世代にも渡って蓄積されてきた技術の結晶としての養殖業は本当にかなわないと思います。
しかし「養殖がうまい」とか「天然がうまい」とか、そういう味覚的な視点だけではなくて、”何もせずとも勝手に毎年のように自然に生えてくる、そしてそれを食べることができる”という意味での、天然の凄みを感じていただければうれしいです。それは、海の営みそのものでしかありません。海の恵みそのものです。そして海の営みがあって、はじめて養殖もあるのだろうと思います。
海の営みそのもの、そして海の営みに生かされているわたしたちの暮らしを、ひじきとしてお届けしたいと思います。
釜揚げひじき、オーダーできるのは2月29日までとのこと。
海の恵みを大切な人と共有したら、わたしの物々交換のように、何かがはじまるかもしれません。見えないながらにも確かにある、この自然と人、人と人とのつながりを、私の住む日本にある、小さな「くに」のように考えていきたいです。
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