『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』ACT入門:第10章
人間は行動を約束することはできるが、感情は約束できない。思うに、感情は気まぐれだからである。
ニーチェ 『人間的な、あまりに人間的な』
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<ACT よりよい人生を創造する知恵>
第2部 あなたの内面世界を変える
第10章 感情とはなんだろう
魔女ラーニャ「『旅に出る。わたしは飛行機のシートに腰をかけると、いつものように二つの選択肢について考え始める。
ひとつめ、つんどくだった小説を読む、
ふたつめ、甘い夢と目覚めのあとに展開する景色を期待しつつアイマスクと圧縮クッションをポシェットから取り出す。
今日は、本を読もうか、二つの選択肢を用意するもののわたしはいまだかつて眠ることに成功した試しはないのだから。
2つ席を空けた場所に、ふと目をやった。
わたしは驚きを隠せなかった。なぜかって?そこに座っていたのは・・・』」
猫マナ🐾「『毛むくじゃらの茶色の熊だった。』」
魔女ラーニャ「ぷぷ、マナったら、ほんわか気分のお伽話になったじゃない。」
猫マナ🐾「え?そう?わたしには、恐怖系だけど?
それに、今日は小説なの?」
魔女ラーニャ「うふふ。感情って、不思議よね。
科学だって、感情のことなんてほんの少ししかわかっていないの。
・感情は、大脳辺縁系
・理性は、前頭葉
そんな簡単なもんではないこともわかってきている。
記憶は感情でタグをつけられているって言われるほど、感情と学習の密接な関係が見えてきたり、感情も合理性に関係していることがわかってきているの。」
猫マナ🐾「ふうん。」
魔女ラーニャ「第10章は、感情は何かという知識を得られるわ。」
猫マナ🐾「で、何が言いたかったのかちょっとわかりにくかったよ。猫だからか、翻訳だからかも不明。」
魔女ラーニャ「実際のところ、感情って科学者も哲学者も何であるか、まだほとんどわかっていないのよね。科学はまだ哲学者のほうに軍配があがるのじゃないかしら。感情が人類に備わっているということは、サバイバルに一役も二役も買ってきた、ということは明らかよね。
ここではACTを実践するうえで必要なレベルの知識を得ることを目的としているって考えたらいいんじゃないかしら?」
猫マナ🐾「ふうん。」
魔女ラーニャ「以下のエッセンスを順に見ていきましょう。
■感情をコントロールするのは難しいが行動はコントロールできる。
■感情が生まれるとき3つの段階がある。
■感情にポジ(感謝、うれしい、楽しい、幸せ、満足など)、ネガ(怖い、悲しい、怒り、嫉妬、不安など)の分類はあるが、すべての感情は大切であり、一様にネガでもポジでもない。
■感情は天気のようなもの
是非、本書と照らし合わせて理解を深めていただきたいわ。」
猫マナ🐾「ニャー」
魔女ラーニャ「
■感情をコントロールするのは難しいが行動はコントロールできる。
本書では、”■わたしたちは感情にコントロールされている?(p102)”の部分で書かれていたわ。
感情がわたしたちの行動をコントロールするというのなら、嬉しいのならしっぽをふるように感情があれば、なにがしかの行動がある、というように対応しているはず。
でも実際は、怒りを感じても極めて冷静さや穏やかさを保って対応したり、発散には、ボクシングジムに行く人もいれば、カラオケする人もいる。
」
猫マナ🐾「ドライブしながら車の中でシャウトするって人もいるって、友達のクロが言ってたよ。クロも人間に合わせて同じことしたら、喜んでたってw」
魔女ラーニャ「クロちゃん、歌うなんて天才猫ね。シャウトだけかしら?
人が熊に遭遇すれば、とんでもない恐怖とそこから生じる発汗や動悸、そんな生理反応はコントロールできなくてもその後にとる行動は制御できるわ。」
猫マナ🐾「人間の場合は、熊に背中を見せずにゆっくりと去ること(p103)。一目散に背中を見せながら逃げるのは禁物だよ。時速40キロを超えることだってあるから🐻」
魔女ラーニャ「そうやって恐怖下でも行動をコントロールすることで、サバイバルした人たち、たくさんいるわね。
ウサギやタヌキが車のヘッドライトを浴びると、恐怖で体が麻痺してとまってしまうことはあるけれど、人の場合は動きがとれる。」
猫マナ🐾「人は、極限の恐怖でもコントロールできるのだから、
日常や将来の不安や心配、辛い記憶から生じる恐怖、そんなものに囚われず、行動を選択していくのだって、お茶の子さいさいでしょう?」
🍵♨🍵♨🍵♨
魔女ラーニャ「う・・、そ、それが・・おいそれとはいかないことがあって・・。本来は人ならできるはずなのにね。
ということで、身に着けようとしているのが、ACTの6つのテクニックなの。」
猫マナ🐾「ふうん。そもそも感情ってどうやって生まれるんだろう。」
魔女ラーニャ「科学的には、まだ未知の領域なの。よく知られているように扁桃体という脳の部位が感情の中枢であるのはわかってきているけれど、そのほかの領域も関わっていることもジョジョに明らかになってきているわ。
そこで、ACTを実践するうえで、
■感情が生まれるとき3つの段階がある
ことを理解しておくと、役に立つわ。(本書p104~・その他文献・記事を元に作成)
『●第一段階:情報の発生(重大な出来事が起こる)
思い出や思考などの内部からの情報や、
誰かの言動や態度や匂い、感触、視覚、音、などの5感による外部からの情報
●第二段階:情報の選別(行動の準備をする)
扁桃体を中心に、第一段階で起きた情報の、有害・無害、快・不快の判断。危険だと判断した場合は、素早く逃走闘争反応。
●第三段階:具体的な感情や身体反応(心が巻き込まれる)
悲しみや不満、怒り、喜びや高揚に感謝などの感情が発生。感情には、
手足に力が抜けたり、血圧が上昇して発汗したりするなどの身体反応などを伴うことがある。』」
猫マナ🐾「う~ん、ということは、
●第一段階:情報の発生(重大な出来事が起こる)
ラーニャが、ピンク色の鮭マカロンをお皿におきこちらに近づいてくるという視覚情報があった。
●第二段階:情報の選別(行動の準備をする)
それが、生命に危険があるかどうか、快か不快かを扁桃体中心に脳が判断。マナの脳は、快と判断。
●第三段階:具体的な感情や身体反応(心が巻き込まれる)
嬉しい、という感情と共に、同時にマナの方に駆け出す、口元が濡れるという身体反応も起こる。
どう?」
魔女ラーニャ「そうね。第10章が終わったら、お紅茶の休憩しましょうね。
ところで、ねぇ、飛行機の席の隣に大きな熊が座ってきたら、マナはどうなるの?」
マナ🐾「第1段階:熊という情報刺激 第2段階:緊急の脅威と判断 第3段階 恐怖と共に全速力で逃げる。
逃走闘争反応。原始的なサバイバル反射作用。逃走するか、踏みとどまってた闘うか。心拍数は上がって、心臓は早鐘、アドレナリンの分泌で呼吸は早くなり血液が筋肉に流れ込んで酸素を供給(P106)。
こう見えても時速45キロ超えて走れるの。駿足🐾
熊に遭遇しなくても、ラーニャがもの落としたときとかね、わたし結構逃走闘争反応してるよ。」
魔女ラーニャ「あ、ごめんね。気をつけるね。人もね、先史時代の長い進化の過程で逃走闘争反応は役に立ってきたの。
今ではね、人でもサバイバルに役立っていることもあるけれど、実はマイナスに働くことが多いの。わたしたちは、命が脅威にさらされることなんてないのに、脳が不快情報として記憶していることに遭遇すると、逃走闘争反応を起こしてしまうの。例えば、
・不機嫌な伴侶
・支配的な上司
・駐車違反のチケット
・新しい仕事
・交通渋滞
などなどね(P106)。」
猫マナ🐾「ラーニャ、いっとき新しい魔法を覚えることに恐怖して逃げてたけど、それ?」
魔女ラーニャ「そうね~。数年前そういうことがあったわ。魔法のこと考えるだけでも脳がパニックだった。あとは、魔女ミーティングに行くだけでも不安だったわ。お腹が痛くなったりしてね。
不安もどうして不安なのかを具体的にあげて、対策するようにすれば魔女の実力あがるわけだからどんな感情も使い方。
嫉妬という感情だって、何がほしいのか教えてくれるし、
喪失感があるのならば、何が大切なのかを教えてくれる。
ネガティブな感情はよくないからかんじちゃだめ、というものではないの。
■感情にポジ(感謝、うれしい、楽しい、幸せ、満足など)、ネガ(怖い、悲しい、怒り、嫉妬、不安など)の分類はあるが、すべての感情は大切であり、一様にネガでもポジでもない。
わたしが、マカロン全部食べたら怒るでしょう?それも当然のこと。マナが風邪ひいたら悲しい。
感じるままでいいのよね~。感じるままを受け止める。」
猫マナ🐾「行動はコントロールできるよ。鮭マカロン食べたら、ラーニャがお洗濯した黒衣装の上でお昼寝する・・かもね。」
魔女ラーニャ「わたし、マナの毛ならついたそのままお空に飛び立ちそう🧹💨
問題なのは、不安や恐怖、悲しみなどのネガティブな感情に囚われ続けて、適切な行動がとれないこと。
どうして囚われてしまうのか、その仕組みを『第11章悪あがきスイッチ』で、見ていきましょうね。」
猫マナ🐾「OK,ラーニャ。さ、感情の学びはここ当たりにして、鮭マカロン♡」
魔女ラーニャ「そうねー♡」
猫マナ🐾「それで、飛行機の席には誰が座ってたの?」
魔女ラーニャ「わたしにとって一番そばで座っていてほしい存在よ。」
猫マナ🐾「えっ。それって、誰?」
魔女ラーニャ「うふ、も~、わかってるでしょう~。」
猫マナ🐾「ゴリラ。」
魔女ラーニャ「マナったら。熊の次は、ゴリラ?」
猫マナ🐾「じゃぁ、トマト。」
魔女ラーニャ「なんでやねん。」
猫マナ🐾「わかったマカロン💕」
魔女ラーニャ「いつからコントになったのかしら~」
🎶♬🎶♬
当初は少しは真面目な風でしたが、お茶の時間とたん二人はとても上機嫌。最後に、
■感情は天気のようなもの
心は一定ではありません。毎秒ごとに量も質も変化しています。まるで大海原の波うち際のように。
しかし、わたしたちは、感情は常に一定でなければならない、大きくない方が良い、などと考える傾向があります。心が感じるところのことをコントロールすることは、大海から砂浜へと打ち寄せる波をコントロールするが如し。
わたしたちにできるのは、波にどのように乗るのかなのですね。それを教えてくれるのがACTということでしょうか。
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目を通して頂き、ありがとうございました❣
よりよい人生を創造するACT理解の一助となりましたら、幸いです。
」