コロナ禍のオケ運営
先日、私が運営に携わっているオーケストラの本番が無事終わりました。3年振りの開催でした。
取り敢えず何事もなく終わってホッとしてますが、反面ドッと疲れが襲ってきた感じ。
自分でつらつら言い始めるとみっともないのを承知で書きますが、コロナ禍で活動が止まった団体をもう一度動かすのは容易ではありませんでした。
なので、演奏面の振り返りは後日することとして、まずは運営の振り返りをこちらに。
同じ悩みを抱えてる団体はたくさんあるのではないかと思慮します。そういう方々の一助になれば幸いです。
運営に大きな影響を及ぼした壁は大きく2点。
① 2年間活動休止していたこと
② 引き続きコロナ禍であるということ
これらの壁が運営にどのような影響を与えたのか、そこからどんな気づきがあったか、具体的に書いていきます。
参加者が集まらない
真っ先に想像がつくところかと思います。これが最初にぶち当たる最大の課題。
活動休止期間中の2年でメンバーの状況って色々変わってるんですよね。
引っ越した人もいれば、仕事が変わった人もいれば、家庭を持つようになった人もいました。
オーケストラに参加すると、約半年の休日を捧げることになりますし、お金もそれなりにかかります。
そのハードルを乗り越えて参加してもらうのが、非常に大変でした。
そして、新規メンバー獲得の動きが休止期間中止まってしまっていたこともかなりの痛手でした。
新しい人が入ってこなくなった団体は衰退の一途を辿りますので、今年はかなり危機感を持って勧誘活動をしたつもりです。
メンバーはオケの命。音楽活動ができない間も、メンバー勧誘、定着のための活動は絶対に止めてはいけないのだと再認識しました。
パートトップのハードル
例年、選曲が終わった段階でパートトップを決めていくのですが、今年はパートトップが中々決められない状況が続きました。
メンバーの意見を聞くと、休止期間明けのパートトップは、かなりハードルが高くなってしまっていたと思いました。それはその通りだなと。
「そんなに練習に出れない」「技術的に不安」
といった不安要素をいかに取り除いてあげられるか、どうやったらトップに負担が集中しないようにできるか、団として整備する必要があると思いました。
そしてこれはトップに限った話ではなく、メンバー1人1人にも言えることだなと思います。全員が無理なく心地よく参加できる環境を整えることが重要。
練習会場確保が難航
コロナ禍で、人数制限が厳しくなったり、使えなくなった会場が増えました。
特定の会場に応募が集中するようになり、結果として練習会場の確保がかなり難航しました。
今後も同じ状況が続くと思われますので、来年以降は会場取りが難航する可能性を考慮した運営が必要になると思います。
基本的には3ヶ月くらい前に会場確保できている練習日をもとに練習プランニングする。それ以降取れた会場はプラスアルファとして考える、くらいでいいのかもしれません。
合奏に対するブランク
私も含めですが、やはり休止期間のブランクは大きかったです。
技術的な側面は仕方のないところですが、(速弾きとか、音量とか、アンサンブル力とか)
体力面や精神面への影響も大きいと感じました。
演奏時の集中力が中々保てなかったり、
どうしても合奏中受身になりがちだったり、
次の合奏に向けてのアクションをとる余裕がなかったり。
オケってこんなに大変だったんだなぁ、、、と私も演奏者の1人として感じながら弾いていました。
もちろん来年以降はブランク解消されていくでしょうが、難易度や曲数は見直しが必要かもしれません。
昔のような根性と勢いで乗り越えていくスタイルは、もう古いのかもしれないですね。
コミュニケーションの希薄化
団体の雰囲気づくりに関して、対面のコミュニケーションに頼り切っていたことに気が付かされました。
初めまして久しぶりの方が多い中で、飲み会的なイベントも中々開けず、どうしても組織としての一体感を作りにくかったです。
毎年地方の民泊で行っている合宿も、今年は近郊のセミナーハウスで行いました。もちろんそこでも花火や飲み会などイベントはできず。
対面のコミュニケーションが制限されている中、我々は何をもってつながっているのか、どうすれば一丸となれるのか、改めて考えさせられました。
団体の主たる目的である音楽活動の充実はもちろんですが、対面に縛られることのない交流の場を作ることも大切だなと感じるようになりました。
LINEグループの活性化、SNSでの発信など、対面でなくてもやれることはたくさんあると思います。
練習時のコロナ対策
国の方針がコロコロ変わってたのもあり、団としてどこまで決めておけば良いのか、本当に毎日悩んでいました。
指揮者としては、自分がコロナになってしまったらどうしようという不安に苛まれる日々。結構ストレスでした。
マスク着用、消毒、換気、などは基本ですが
緊急事態宣言下での開催可否、感染してしまった時の連絡経路や、濃厚接触者の取扱など決めることはたくさん。
去年は
「緊急事態宣言下では練習中止とする」
という方針としており、結果としてほとんど練習が出来ず、断腸の思いで演奏会中止の決断を下しました。
今年は去年の繰り返しにならないよう、
「原則練習は開催。個々人の参加可否は国の基準に沿って各々で判断頂く」
という方針のもと、団としては最低限のルールだけ整備しておく、としました。
言うまでもないですが、決断にはかなり勇気がいりました。
本番のコロナ対策
本番になると、練習時からさらに考慮事項が増えます。
長くなるので一気に書きます。
本番前に感染者が出てしまったらどうするか。
→よほどのことがない限り、開催。
指揮者とかソリストが出演できなくなっても、他のメンバーでできる限りやり切る。
よほどのこと、とは
→クラスターレベルの感染拡大。
その場合は無観客開催(ライブ配信)、もしくは中止検討。
感染してしまった人は
→ 残念ながら不参加。(幸い今回は出なかった)
不参加となってしまった人に参加費一部キャッシュバックできるように準備していた。
観客の方への配慮
→最低限の感染対策呼びかけはするものの、指定席や連絡先収集などはしない。(会場からの要請がなかったため)
ライブ配信
→ 会場に来れない方も一定数いるはずなので、今年からYouTubeでのライブ配信を導入。
それに伴いアンケートのWeb化などの対応も実施
混雑解消のための施策
→ 混雑解消のため、開場〜開演時間を普段より長めにとるようにした。また例年ロビーで実施している開演前のミニコンサートも会場内で実施。
。。。
くらいかなぁ、もっとある気もしますが。
さいごに
大変だったことを書き連ねただけの文章になってしまった気がします。
今となっては全てなんとかなってよかったね、で済む話ですが、やってる間はとにかく目の前の課題を一つ一つ解決していくしかなく、ほんとに必死でした。運営コストは例年の10倍くらいの感覚。
ただ、今回の経験は運営を見直す良いきっかけになったのも事実です。
今までなぁなぁでやってしまっていたことや、無理してゴリ押ししてたことに気がつき改善できたことも多々あります。
去年の演奏会中止から学んだことですが、
「やりたいことを実現するためにはどうすればいいか?」
という意識で前向きな議論を続けていくことがとにかく大事だと思いました。
できない理由を並べて中止にすることは簡単ですが、苦しくても歯を食いしばって開催までこぎつける。それをするだけの価値がオーケストラにはあると思うのです。
そして、その価値をメンバーやお客さんにも感じてもらえるように、今後も努力していきたいと思います。