鈴木いづみ 「いつだってティータイム」

"速度が問題なのだ。人生の絶対量は、はじめから決まっているという気がする。"の書き出しで始まる本著。
私の十代に多大なる影響を与えたこの作品と、そして鈴木いづみ。いつかは彼女と深く向き合い、掘り下げ、そしてそれを何らかの形にして残したいと思ってはいるが、私には、まだまだ足りない。彼女の感性に、語彙に、その鋭い洞察に、聡明さに、そして彼女の速度に、まだまだ追いつけてなどいないのだ。

それにしても、あまりにも美しい書き出しだと思う。本を読むとき、大抵はその書き出しで、心掴まれる作品かどうかが分かる気がする。少なくとも、私の今までの経験では、そんなことが多かった。
"いつだってティータイム"という、なんとも暖かく、柔らかい陽の光が差し込むような、そんな瞬間をイメージさせるタイトルから打って変わって、彼女は人生の"速度"について語りだす。彼女は、とても"速く"生きて、そして自らの手でこの世にさようならをした訳だ。彼女が自死を選んだその事実に対しては、不思議とすんなり納得してしまう。生きてほしくなかった訳では決して無いけれど、それでも、私が感じる彼女の美しいところは、きっと全部、彼女にとっては生きる上での苦しさだったのかな、などとも思うから。


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