ホラー映画とクトゥルフ神話
お待たせしました!
前々回のお題の中で、一番リクエストの多かった「ホラー映画とクトゥルフ神話」についてです。
このお題を思いついたのは、黒田珈琲での「ホラー映画を語る会」に参加したのと、池袋新文芸座でのカナザワ映画祭「クトゥルフ怪談」を観にいったのがきっかけです。
黒田珈琲のイベントについてはこちらの記事をご参照下さい。
当日の参加者は10名くらい。
読書会の常連さんもいらっしゃれば、私と同じく今回が初参加の方も。
「仄暗い水の底から」イメージの、霜のようなものが浮かんだ黒ずんだドリンクが提供されました。
レシピは秘密、とのことでしたが、怪しい外見に反して爽やかな甘さでした。
ちょっと柑橘系っぽさがあるけれど、酸味はなく、何だろう、と思っていたら、後になってTwitterで種明かしがありました。
ブルーキュラソーシロップとブラッドオレンジジュースが使われていたそうで、なるほど!という感じです。
最初の自己紹介では「好きなホラー映画」を言って下さいとのことだったので、私はダリオ・アルジェントの「プロフォンド・ロッソ」を挙げました。
今思うと、雰囲気は「サスペリア」の方が好きだったような気もしますが、廃屋の子供の絵がとにかく怖かった印象があるので。
まず、なぜこのテーマになったのか説明から始まりました。
黒田珈琲のスタッフの女性が「仄暗い水の底から」を観た時に、ラストがものすごく怖かったのだそう。
でも、もう一人のスタッフの男性は、怖くはなくむしろ感動した。
その違いはなぜ、というのが発端だったそうです。
参加者の意見を聞いたところ、私を含めほとんど全員が、感動的だったかどうかはともかく、あまり怖くなかった、との意見でした。
なぜそのような意見の食い違いが出るのかというと、ネタバレにならないよう詳細は伏せますが、女性の意見では呪いや祟りが消えずに残る、というのが非常に怖いというのです。
でも、ジャパニーズ・ホラーはほとんど残るよね。という話から、色々な映画に話が広がっていきました。
とにかく皆さん色々映画を見ているので、タイトルをひたすらメモ。
と言っても面白い映画や怖い映画以外にもB級どころかE級?!みたいなのもたくさんあって、「ムカデ人間」などが槍玉に上がっていました。
「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」なども有名ですが、何でも日本未公開の、タイヤが人を襲う映画があるのだそう。
何故タイヤ??しかも舞台は砂漠らしい。謎が深まります…。
一方評判の良かったホラー映画は、「シャイニング」「ミザリー」「エクソシスト」「セブン」「シックスセンス」などなど。
アルジェント好きも多そうで、「サスペリア」のリメイク版は映画としては良く出来ているけど、美少女をいたぶる美学がない、という意見多数。
「VSものは怖くない」「シリーズ2以降は怖くない」「ゾンビ映画は別ジャンル」などの説が提唱されました。
他に出てきた話題は「ホラーとサスペンス、ミステリー、スリラーなどとの違い」など。
ホラーではないけどホラー映画ファンが好きそうな映画として、私も大好きな「サンタ・サングレ」が上がっていました。
「ホラー映画の作法」という本もおすすめということです。
この会の数日後、池袋新文芸座で「カナザワ映画祭」が開催されました。
初日「クトゥルー怪談」の日はどれも観たかったのですが、仕事で夜からしか行けなかったので、菊地秀行×朝松健「クトゥルー対談」と、最後の「闇に囁くもの」のチケットを予約。
菊地氏と朝松氏の対談を拝見するのは私は初めてでしたが、会場でお会いしたクトゥルフ関係の面々は、何度かイベントなどで見たことがあるようでした。
クトゥルフ映画をひたすら紹介していくというものでしたが、このお二人の知識量が半端ない!
そして朝松氏が毒舌!!
菊地氏はそれを「まあまあ」とたしなめつつ、堪え切れずくつくつ笑っているという、愉快な対談でした。
90分たっぷり話されていて、とても書ききれませんので、印象に残ったところだけ。
菊地氏がクトゥルフテイストだと太鼓判を押した「顔のない目」は、私も気になっていた作品なので、ぜひ観てみたいと思いました。
朝松氏は「フロムビヨンド」が傑作だとのこと。
また、マッケンをクトゥルフ神話に入れるのならモーパッサンの「オルラ」を入れたい、とのこと。
「狂人日記」(ゴーゴリかな?)のタイトルも上がっていたような気もします。
ラブクラフト以前のアンブローズ・ビアス、ロバート・W・チェンバースなども、クトゥルフ神話に影響を与えた作家として知られているので、なるほどクトゥルフ神話というのは時代を超えて存在するものかもしれません。
ちなみに私は「青空朗読」というサイトに、H.P.ラブクラフトの「ダゴン」「ニャルラトホテプ」、アンブローズ・ビアス「羊飼いハイタ」、ロバート・W・チェンバース「四風の街」などの朗読を掲載して頂いております。
佐野史郎さんが「インスマウスを覆う影」の次に「ダンウィッチの怪」をやりたがっているので期待!というお話。
それから井上雅彦伯爵が、粉瘤が出来た時に「マニトウだ」と喜んでいたとか。
ギレルモ・デル・トロが「狂気の山脈にて」を撮りたがっているので気をつけろ、などという発言もありました。
ギミック満載で面白そうな気もしますけどね。
「闇に囁くもの」の上映の方ですが、モノクロの雰囲気ある映像からてっきり1970年代くらいの映画かと思っていたら、2011年と割と最近の映画でびっくり。
最初の方はかなり小説に忠実に進んでいきますが、ヒロインの少女がラブクラフト作品らしからぬ存在、と思っていたら、段々冒険活劇風に。
洞窟の中の怪しい設備なども、マッドサイエンス的な雰囲気があってなかなかでした。
思わせぶりなラストも良いです。
ホラー映画談義、参加するのも聞くのも面白かったので、そのうち《哲学者の薔薇園》でもやりたいな、と思いました。
皆様のお勧め映画などもぜひ、教えて欲しいです。
画像はMONT★SUCHT第9回公演「深き眠りの門を越えて」より。
クトゥルフものの演劇です。
豚蛇氏のクトゥルフ同人誌「玉石混淆 第3号」にシナリオ掲載。