尾崎放哉 句集
「口あけぬ蜆(しじみ)死んでいる」
「咳をしても一人」
「風呂敷包み一つ」
「墓地からもどつて来ても一人」
などなど、、
救いようのない孤独感を滲ませる放哉さん、、、
尾崎放哉句集の170㌻に 『灯』の章がありますが、
夜の明かりの数の数え方が、
独特で、、、こんな感じです。↓
庵の外の灯りが少ない、
こんな淋しい処に住んでおりながら
これで大の淋しがりやなんです。
それで夜寂しくなって来ると、
雨が降っていなければ、
障子をあけて外に出て、
このたった三つしかない灯りを、
遥の遠方に、しかも離れ離れに眺めて一人で嬉しがっているのであります。 、、、
もう、一つとか、二つ、三つ、、
とくに(一つ)を繰り返し言ってます。
たったひとつ 、
ひとつひとつ、
(沢山ある内の)という意味にも取れないこともないですが、せつないです。。
明治大正時代の頃に生まれた方の
日記や作品を読んでいると、
なんとも言い難い、
人の尊厳を踏み躙られたような息苦しさが文字を通してまた作者の心をぎゅうぎゅうと塞いでくる気がします。。
当時の夜道は今よりももっと暗いし寒々しかっただろうし、
灯りが三つしかない←(放哉)
今にも消えそうな作者の声を拾ってみました。。声が小さすぎる。。。
158㌻の鉦たたき(カネタタキ)
が闇の底だと思いました。。
岩波文庫 緑 178-1
尾崎放哉句集 池内 紀編
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