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『心』 その1

※ホラー系になります。
※グロ、流血表現を含みます。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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『心』

というものがある。

人々は心といえば、どのようなものを思い浮かべるだろうか。 ハートの形? 心臓? もしくは抽象的なもの?

私の場合は『手』を思い浮かべる。

指先からひじまで、である。
白くて細い手。私はいつも苦しいことやつらいことがあったとき、手首を切る。といっても心の手の方だ。

カッターナイフを想像し、キリキリと音を立てて刃を出す。白い手首に刃先を当てて、 ゆっくり滑らせる。そうすると、きれいな肌に赤い線ができる。その線から赤い液体が じんわり滲み出る。血だ。白い手を伝って滴り落ちる。暗闇の底に赤い血が落下して、 消える。

心のリストカット。

私はその行為をそう名付け、ほぼ毎日、実行している。手が血に染まるたび、温かくて気持ちいい。冷たくなった心が傷を負うことで癒される。

最初は一本だった線が日を追うごとに二本、三本と増えた。

一日の回数も増えていき、 現在では無数の線が手首に刻まれている。

でこぼこしていて赤黒く変色している。勿論、 想像上の手のことだ。 どれだけ血を流しても出血死しないのだから、何度だって切られる。

最近は強めに線を引いている。 当初、軽くカッターナイフを引き、手首を切っていた。薄皮一枚が割かれて程よい痛みを感じた。

それで十分だった。しかし今となっては物足りない。慣れてしまったのか、 麻痺しているのかよくわからない。

とにかく強く刃を押しつけなければ、満足できなかった。

                               続く…


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