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もがく女子:イントロダクション
頑張る女子の情報を目にすることが増えた。ソーシャルメディアはもちろん、ニュースメディアでも女性活躍推進の機運で色んな苦労を乗り越えて道を開拓した、チャンスをつかんで成功したいう人の話をよく目にするし、そのなかには超人的にさえ見える人も少なくない。
そうしたスーパーウーマンたちの華々しい活躍を見るのは確かに心強いし、刺激になる。ただしそれは自分の状態が万全なときに限られるだろう。実際に気持ちが下がっているときにうっかりそうしたキラキラを目にしてしまい落ち着かない気持ちになったことがあるのは私だけではないはずだ。
内閣府が13歳~29歳の若者に対して行った調査によると、「私は、自分自身に満足している」という項目に「そう思う」と回答した割合は男子が13.4%だったのに対して、女子は7.6%だ。日本の回答者全体における割合は10.4%となったが、これはほかの調査6か国が軒並み30%以上であるのに比べて圧倒的に低い。つまりただでさえ日本には自己肯定感のある若者が少ないなか、女子の場合はさらに少ないということだ。また世界規模で見ても、女性(特にマイノリティ)はロールモデルの不在や構造的なバイアスによって自身の能力を過小評価しやすいことも指摘されている。
こうした「自信のなさ」によって、私たちは自分と他人を不必要に比べてしまう。華々しいサクセスストーリーを目にして密かにざわっとしてしまう理由もたいていこれだ。そしてそんな気持ちを「自分とは世界が違う」という諦めや、「そもそも環境に恵まれてる」という嫉妬、あるいは「よくやるわ」という冷ややかな目線でもってひっそりと心を静めるか、「私なんかまだまだ」と焦燥感を抱き自分を追い込みにかかる。
メディアで取り上げられるのは当然ながら「活躍」の部分であり、フォーカスされるのは結果である。けれど一見スーパーウーマンのごとき先人も、環境に恵まれていたように見える若者も、きっと何かしらモヤモヤした思いを抱えてもがいてきたはずだ。そして一度成功したように見えても、その先にはたいてい別の苦労が待っている。
私が伝えたいのはそのリアルな姿だ。結婚出産がもはや至上命題でなくなった現代を生きる女子たちが、もがきながらそれぞれのジャーニーを進んでいく姿を伝えたい。そうしたリアルを知ることで、私をはじめとしたもがく女子は共感し、「自分だけじゃない」と感じることができるのではないだろうか。
たとえまだ成功していなくても、人生がこれでよいのかわからなくても、結果ではなくその過程にこそ、人生の価値はあるはずだ。
もがく女子一覧
◆夏子の話(全4話)
◆カヨの話(全4話)
◆香織の話(簡易版、全2話)