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⑤離人症発症!~霧のヴェールで私を包み込むわ~

高校2年のある日、ふと周りを見渡すと木や山、校舎、電車、人、ホーム、空……僕の目に映るすべてのものがまるでヴェールに包まれたように見えて、美しい景色も暗いフィルターを通して見ているようで、暗くて悲しげで切なくて……。
僕は頭がおかしくなってしまったのではないかと思いながらも、誰にも言えず、親にも相談せず、ただ一人悶々と日々を過ごしていた。
今思うと、そんな精神状態でよく一週間もの長い期間修学旅行へ行ったなと感心する。
高校3年になり大学受験も控えてきたころ、それまでの精神状態や動悸・吐き気に加え、頭痛、不眠、不安、乗り物恐怖に襲われ発生頻度も日に日に増して、電車に乗り毎日学校へ通うのもやっとだった。
授業中やテストのときなど、ドキドキして冷汗をかいてよくトイレへ逃げ込んだ。
そんなこんなで何とか日大への進学も決まり、卒業と同時に両親へこの症状のことを打ち明けた。

本好きの父親が「不安からの解放」という本を買ってきてくれ、それを読んだら僕と同じような症状のことが書いてあり、春休みになってさっそく、著者が院長のT医院へ父親に連れられ行くことにした。

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