猫の思い出
子供の頃、猫を飼っていました。捨てられたらしい仔猫が隣家の屋根の上から助けを求めてミャーミャーと泣いているのを見つけたのが彼女との出会い。
勝手に人のお家の屋根に登るわけにもいかず、窓を開けて手を伸ばして、こっちへおいでと呼びかけるも、すっかり怯えてしまって動けない仔猫。隣の家の人は夜まで帰ってこないし、困りつつも半ば諦めていました。(猫って登れるくせに下りられないんですよね)
やがて鳴き声が聞こえなくなり、何処へ行ったのかと心配していたら、なんとうちの玄関の前にちょこんと座っていました。
いやいやいや、うち、猫を飼えないからね。(申請すればペットを飼える、基本はペット不可のマンション住まい。ついでに父が猫嫌い)
初めは泣く泣く追い払っていたのですが、あまりにも毎日毎日通ってくるので可哀想になって、親に内緒で缶詰をあげたりしていました。親にバレた時が修羅場。そして猫LOVEな母が管理会社に連絡。晴れてうちの子に。
すくすく育ち、スズメやら鳩やら捕まえては私に見せてくれるようになりました。
寝るときは私の布団の中に潜り込んで、私の脇とか股に顔を突っ込んで。(なんで?)
朝になれば私の顔の上に移動し、窒息死させようとしてくる天性の暗殺者。
高校受験を控えて夜遅くまで勉強しているときは本棚の上から進捗を見守り、居眠りしようものなら背中にダイブして叩き起こし、足が冷えて集中できないときには足元でとぐろを巻いて温めてくれる。合格できたのは彼女のお陰です。
一緒にいられたのは18年くらいかな。長生きしてくれました。晩年は猫又になりかけていて、妖怪みたいな鳴き声になっていました。
匂いってかなり記憶に残るんですが、彼女の匂いもまだ鮮明に思い出せます。ちょっと焦げたみたいな、うす塩味な匂い。それに欠伸してるときの口はめっちゃ臭い。
最近、弟が猫を飼い始めました。彼女にそっくりな縞々の猫。たまに動画を送ってくれるので癒されています。超絶可愛い。
私も猫を飼うぞ。そのためにはまず引っ越さねば。(今はペット不可の物件)そして犬派の夫を説得せねば。