「感謝と祈り」第453話
アフリカに「一人の老人が死ぬことは、一つの図書館がなくなることと同じ」という諺(ことわざ)があります。
老人は、一生の間に一冊の本も読んでいなくても、目で見て、嗅ぎ、手で触り、耳で聞き、舌で味わった、膨大な情報(非言語情報)を蓄積してきたのです。
たとえば、目の前に一個のリンゴがあったとしましょう。
リンゴを見たことのない人に、言葉でそれを伝えようとしても、恐らく本一冊分の情報を伝えても、リンゴ特有の甘酸っぱさ、皮の触感、果芯の形状など、「大事なことは何も伝わらない」と