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第25回NHK全国短歌大会の特選1席になって【4分】
この「弓吉えり」という名前と運命を共にするようになって、もうすぐで丸2年。
私の大好きな春という季節に、ありがたい賞を頂いた。
第25回NHK全国短歌大会にて、自由題小島ゆかり選、特選1席を受けた。
内定したときの気持ち
入選の経験がある方はご存知だと思うが、大会の1か月半前くらいになると、入選通知が届く。
この時点で、投稿した題詠1首、自由題2首が、まさかの3首すべて入選。
去年は3首出して1首入選だったので、大いなる運に感動し、ちょっぴりだけ自分の成長を実感した。
ところがどっこい。
数日後に特選1席内定の通知が届いたのである。
封筒を見ればだいたい察しはつくので、震える手で開封(もちろんズタズタ)、とまらない涙。
歌歴は2年とまだまだ浅いけれど、自分なりにこの2年間真摯に短歌と向き合ってきたつもりだ。
もちろん、大変なこともたくさんあった。
でもそれ以上に、嬉しいことのほうが多かった。
そうやって楽しく短歌を詠んできて、特選を頂けたのだから、そんなに嬉しいことはない。
特選内定の通知を頂いて最初の気持ちは、驚き。喜び。
そして、感謝だ。
どきどきしていたこと
当日の大会でもおひとりの受賞者の方がおっしゃっていたことだが、私たちは当日まで選者の先生方のうちどなたが自分の歌を選んでくださったのか、知ることができない。
NHKホールへ行って、作品集を開いて初めてわかるのだ。
そんなわけで、控え室に着くと早速作品集を開き、目を皿のようにして確認する。
私の歌を自由題特選1席に選んでくださったのは、小島ゆかり先生だった。
なんとなくの予想で、私は吉川宏志先生、母は俵万智先生かな〜なんて言いながらNHKホールまでの道を歩いたのだが、ふたりともはずれ。
同じ歌で、川野里子先生からの秀作も頂いていた。
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いよいよ開演
控え室から、舞台へ移動。
「ここがあの紅白のステージ…」なんて感慨にふける余裕はなく、席に着くとまもなく開演になった。
どどどどど緊張していた私。
全身の筋肉がガチガチすぎて、もはや軽く震えていた。
私は自由題で賞を頂いたので、紹介されるのは第2部。
だから第1部に私の出番はゼロなのに、ずっとずっとガチガチでたぶん能面だった。
そんな私を見かねたのか、第1部が終わると客席の家族が「笑顔、笑顔!!」というジェスチャーをしていた。
能面だろうとは思ったけれど、予想以上の能面ぶりだったみたいだ。
舞台裏での休憩中に、受賞者で日頃からX上で拝見していた梅鶏さん、岡本恵さんとお話しをし、少し緊張がほぐれた。
舞台に戻る前、演出担当の方に励ましていただいた。
席に再びついて、お隣の菅谷敏子さんとお話しをしていた時には、笑っていたみたいだ。
ついに私の番
自由題特選1席10首中、私の歌は6首目の紹介。
司会の小澤康喬アナウンサーからは、2つほどお話を振っていただいた。
マイクを向けていただいて、話していた間の記憶は、ほとんどない。
とにかく失礼のないように、丁寧な言葉づかいをしよう、ということをひたすら心に留めて話していた。
短歌を始めたきっかけが穂村弘先生の『シンジケート』で…という話をする予定になっていたので、当日私に選を入れてくださっていたのは小島ゆかり先生であると判明してから、急いで言い訳を考えた。
なんといっても、ゆかり先生は大学の大先輩なのである。
選んでくださった、大先輩でもあるゆかり先生がいらっしゃる場で、穂村先生へのありったけの愛を大発表するのだから、これはもう…(成し遂げました。)
家族からは、「堂々とした話ぶりだったよ」と言ってもらえた。
終演後のこと
幕が下りてから、舞台上で記念撮影。
そのあと、選者の先生方が先に控え室へ戻られる流れになったのだが、え?もしかして先生とお話しできるのって今この瞬間を逃したらない感じ?およよ?!
慌てて小島ゆかり先生、穂村弘先生、俵万智先生、吉川宏志先生にお声がけし、ご挨拶やら感謝の気持ちやら特大の愛(もちろん穂村先生へ)やらをお伝えした。
得難い経験だったな、でももっと先生方とお話ししたかったな、という気持ちを抱えながら、控え室に戻った。
すると、賞状などを受け取って出口へ向かう道すがら、なんと帰り支度をされた先生方数名のお姿が!
山崎聡子先生、岡野大嗣先生とお話しすることができた。
なんとおふたりは、ふだんのNHK短歌に投稿している私の名前を覚えているとおっしゃった。
リップサービスかもしれないが、雰囲気から本当のような気がして、すごくすごく嬉しかった。
地道に真面目に投稿していれば、選者の先生方はきっと目に留めてくださると、NHK短歌をはじめとする場に投稿されているみなさまにお伝えしたい。
私自身、覚えてくださっているとのお言葉が本当に励みになったし、これからも絶対詠み続けようというモチベーションになった。
(今大会で秀作に取っていただいた川野里子先生へのご挨拶が叶わなかったことだけは、とても心残りだ。)
ふりかえって
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あらためて、実に得難い経験をしたと、つくづく思う。
選者の先生方、大会関係者のみなさま、そしていつも私の短歌を応援してくれる家族・友人に心からの感謝を伝えたい。
ありがとうございました。
これからも短歌とまっすぐ向き合い、詠み続けるべく精進してまいります。
うめ、さくら、ばら、チューリップくらいしか知らない僕の「あの花」が咲く/弓吉えり