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第15回 貧血には3種類ある?!

2024年4月8日

健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。

女性の中には健康診断で貧血と言われたことがある方は多いのではないでしょうか?今回は比較的多くみられる疾患、貧血についてお話ししようと思います。

貧血とは?
赤血球は真ん中が窪んだおはじきのような形をしていますが、赤血球を構成しているのがヘモグロビン(血色素量)で、真ん中の窪んだところに酸素を乗せて体中を巡り様々な組織や細胞に酸素を運搬します。ヘモグロビン(血色素量)が少ないと貧血という状態になりますが、ヘモグロビンが少ないと体の組織に十分な酸素が行き渡らずいろいろな不調をきたすようになります。貧血の症状は、めまい、立ちくらみ、動機、息切れ、頭痛、眠気、集中力の低下、倦怠感、口角炎、口内炎などがあります。

貧血は3種類あります。
貧血には大きく分けて3つに分けられることはご存知でしょうか?
赤血球の大きさによって貧血は3種類に分けられます。赤血球のサイズが小さい小球性貧血、赤血球が正常の大きさである正球性貧血、赤血球のサイズが大きい大球性貧血です。赤血球の大きさの違いによって、貧血を起こす原因も違えば治療も全て異なります。貧血といえば鉄不足だから鉄を摂ればいい、ということにはならないのです。赤血球の大きさからどのタイプの貧血かを大まかに予測しますが、血液検査で血清鉄やフェリチン(貯蔵鉄)、葉酸、ビタミンB12など詳しい検査をするとより明確に原因が絞れてきます。

①小球性貧血…鉄不足
女性で一番多いのがこちらのタイプです。月経の回数が多い(頻発月経)、月経量が多い(過多月経)、子宮筋腫、子宮腺筋症により出血が多いと鉄不足となります。また、胃潰瘍や痔などの消化管出血が原因のこともあり、少し年齢を重ねた方の小球性貧血は出血しているなんらかの癌の可能性も考えます。当院では小球性貧血の方には原因を調べるために婦人科検診と胃カメラ・大腸カメラを勧めています。
ヘモグロビン(血色素量)が正常であっても、血清鉄やフェリチン(貯蔵鉄)が少ない場合は潜在性鉄欠乏性貧血であるのでこちらも治療を進めていきます。
鉄不足の方は不眠やイライラしたり、甘いものがやめられなかったり、氷などガリガリ食べてしまう傾向があります。また、鉄はコラーゲンの元でもあるのでお肌に弾力がなく顔色が悪い方も多いです。

②正球性貧血…骨髄や腎臓の病気で血球が作られない、溶血、または小球性+大球性の混合
白血病や再生不良性貧血、溶血性貧血など一般の外来では普段あまりみられない病気が原因であることが多いです。骨髄の病気では骨髄から赤血球が作られないので、骨髄から赤血球が作られているかどうかは網状赤血球(赤血球の赤ちゃん)の数を見て判断します。

③大球性貧血…飲酒、ピロリ菌
男性でも貧血がみられることがありますが、こちらのタイプが多いようです。健康診断などで貧血と診断されなくても、栄養学の観点から見ると貧血の状態であることはとても多くあります。飲酒やピロリ菌により葉酸やビタミンB12が不足すると赤血球細胞の成長に異常が起こり、通常より大きなサイズの赤血球が作られます。大きい赤血球は酸素を運ぶのに効率的な構造ではなく貧血症状が現れます。大急性貧血は多量の飲酒、胃切除10年以上経過している方、萎縮性胃炎、菜食主義、過度なダイエットで見られます。

貧血と診断された方はタイプを知るためにさらに詳しい血液検査を受けることをお勧めします。治療が全く変わってきますから。
自分の身体を正しく知ることがとても大切です。

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