第16回 春の肌荒れ
2024年4月13日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
春になると、肌荒れが増えてきます。
肌がヒリヒリする、ブツブツができる、ニキビが治らない、など。
皆さまのお肌にトラブルはありませんか?
肌荒れの原因で一番多いのは乾燥です。冬の時期に乾燥した空気によって肌の潤いが奪われて
乾燥し、肌のバリア機能が低下した状態になっています。健康な肌は角質に守られて角層の内側にある水分を保持し、肌の潤いを保っています。また、角質は花粉などの外的刺激から守る作用も担っています。しかし、乾燥で角質から水分が減ると、角層細胞が乱れすき間ができてしまいます。そこに、花粉、黄砂、PM2.5、紫外線などが肌に降り注ぎ、直接肌を刺激してしまうのです。花粉だけでなく黄砂やPM2.5もアレルゲンになることがあり、バリア機能の低下した肌に付着すると、アレルギー反応により肌が荒れることがあります。また、2月後半から紫外線が増えてくるため、紫外線に当たると肌が乾燥してバリア機能が低下します。人によっては春は環境が変わり、ストレスで肌荒れが生じることもあります。
乾燥すると様々な肌トラブルが起きてしまいます。例えば、皮膚が敏感になり痒みを起こしたり、炎症が起きると赤みが出ることがあります。ターンオーバーがうまく行われないと、粉をふいて表面の皮がポロポロ剥がれ落ちたり、吹き出物やニキビもできることがあります。
では肌荒れにはどんな対処法があるでしょうか?
実際診察で患者さんに伝えていることをお話していきますね。
①メイク落とし…乾燥からの肌荒れの方は、オイルタイプやジェルタイプのメイク落としを使用していることが多いです。メイクだけでなく皮脂も強力に落としていることが原因と考えられます。肌に乾燥を感じてきたら、泡タイプやクリームタイプのメイク落としに変更して皮脂を取りすぎないことが大切です。メイク落としを変更するだけで乾燥が和らぐ方がほとんどです。
②洗顔…入浴後や洗顔後はすぐに保湿することが大切です。洗顔は、お湯を使うと皮脂が取れすぎて乾燥を悪化させるので、水に近いぬるま湯(ぬるま水)で優しく洗います。
③保湿…普段私たちが使っている化粧水はアルコールが入っており、このアルコールが肌の角質深くに美容成分を導入していきます。肌が荒れている時にアルコール入りが入った化粧水はしみたり、ヒリヒリして刺激を与えてしまうこともあります。レスキュー時はアルコールフリーのもので代用すると治りが早くなります。当院ではヒルドイドの化粧水タイプ、乳液タイプ、クリームを処方して肌をなるべく刺激させないようにしています。
③炎症止めの薬…肌荒れも悪化すると湿疹、ただれ、皮膚炎も発症し、保湿だけではなかなか治らないことがあります。その時は、炎症止めの薬が必要となりますので医療機関を受診してお薬を処方してもらってください。
④食生活・生活習慣改善…小麦は肌荒れを悪化させてしまいます。小麦をなるべく控えて、肌を作るタンパク質、ビタミンB、ビタミンC、亜鉛、鉄などをしっかり摂っていきましょう。基本はお肉、お魚、豆類がメインの食事となり、これらの食物には様々な栄養素が入っていますので普段から意識してたくさん摂取しましょう。また、睡眠はとても大切なので、規則正しい生活を心がけましょう。
肌荒れに対する正しい対処法を知り、肌荒れを起こさせないような生活習慣を送って心地の良い毎日にしていきましょう。